天使の恋わずらい (ページ28)

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『なんだ、そんなことか。それなら心配ない。瑞稀はもう運命の相手と出会ってるから… きっと運命は変わらないはずだ。』

そうきっと…
一瞬の気の迷いに決まってる。

ただの運命のいたずら…

『正直…俺も、こんなこと初めてで戸惑ってる。だけど…たとえ束の間でも嬉しくて。少しの間かもしれないけど、今が幸せなんだ。』

「龍我… そっか… うん、大丈夫ならいいんだけど、俺…お前が心配で。それに…その時が来たら諦められるの？」

『当たり前だろ。ずっとそうして見守ってきたんだ。運命の邪魔はしない。そしてまた…今生を見届けたら、来世の瑞稀をまた見守るだけだ。』

そう言って微笑んで見せた。

こんなのただの強がりだ…

動き出した気持ちを止めるなんて…
俺にできるのか？

ずっと運命の相手とのことを黙って見守ってきたけど…

今の俺に…それができるのか？

想像しただけで胸が苦しくなってしまった。

その瞬間、頭に痛みが走り思わず顔をしかめてコメカミを押さえた。

「龍我？急にどうかした？具合でも悪いの？」

『いや…大丈夫。天界からの呼び出しだ。面倒だけど…行かなきゃ。』

天界の住人は、連絡したい相手の頭に直接語りかけることでメールやラインみたいにメッセージを送ることが出来る。

だけど中々の高等技術で、神や一部の天使しか使えない。

上級者は、更に電話みたいに会話することもできる。

俺には無理だけど…