天使の恋わずらい (ページ3)

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人間は転生を繰り返す。

イレギュラーな場合もあるけど、基本的には皆そうだ。

転生する度に運命の相手が変わる者もいれば、何度生まれ変わっても運命の相手が変わらない者もいる。

変わらないのはお互いの結び付きが強い証拠。

あの子には…結び付きの強い相手がいる。

だから…運命の相手が誰かなんて…

俺にはすぐにわかってしまうんだ。

あの子の運命の歯車が狂ってしまわないように、注意しながら仮の姿で地上に降りる。

あの子の兄や、弟、親友、同僚、今までも色々な形で、側で見守ってきた。

今生では、どうしようか？

考えている間に、あの子は19歳の誕生日を迎えていた。

今生での名前は、井上瑞稀。

そう…何度生まれ変わっても名前はずっと同じ。字体は変わることもあるけれど、響は必ず同じなんだ。

今は大学に通っていて、そろそろ運命の相手と出会う頃かな…

そう思うと、胸の奥がキリッと痛んだ。

運命の歯車を狂わせないように注意しなければ…

出会いの邪魔をしてはいけない、決して。

瑞稀が運命の相手と出会った後に、大学の同級生として地上に降りよう。

そう決めて時期を伺うことにした。

天使といえど、あまりに先の未来までは見据えられない。

見えてもせいぜい1ヶ月先くらいまでだ。それも大きな出来事しか見えない。

運命の相手との出会いは、大きな出来事と言えるから、ハッキリと見えた。

瑞稀は、1週間後に運命の相手と出会う。

だから俺は2週間後に地上に降りることにした。