天使の恋わずらい (ページ17)

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景色より俺は瑞稀を見ていたいんだ。

そう目で訴えかけた。

きっと伝わることはないのだけれど…

「何か言いたそうな顔してる。言いたいことがあるなら…言ってよ。」

少し伝わってるみたい…でも…
本当のことなんて言えないよ。

『ううん。別に何でもないよ。ちょっと、黄昏たい気分になっただけ。』

そう言って悟られないように窓の外に目をやった。

「黄昏たい気分か… 観覧車ってそういうとこあるよね。ねぇ…龍我はさ、運命って信じる？」

え… 運命って…

瑞稀がそんなことを言い出すなんて…
思わずドキッとした。

まさか、アイツのことを意識し始めてるのか…

嫌だ！そんなの…

『ど、どうして、急に…そんなこと… 何かあったの？』

動揺を隠しながらそう尋ねた。

「え…いや、ちょっと、昨日…バイト先の友達とそんな話をしてたから…何となく。」

『バイト先の友達って… 誰？』

「誰って…他大学の子だから、龍我は知らないと思うよ。」

『そっか… そうだよね…』

他大学の学生… やっぱり、アイツなのか…？

「あっ、よかったら今度、紹介しようか？近いうちにバイト先のカフェに来てみなよ。名前は…」

わざわざアイツに会いになんて行きたくない！

顔も見たくないし、名前も聞きたくないんだ。

そう心の中で叫びながらも、顔で笑って、

『うん、機会があったら行こうかな。』

そう言葉を絞り出して、瑞稀を見ると、呆然とした顔をしていた。