スーパーお兄ちゃん ページ26
ASIDE
「いただきます」
「お、A、卵焼きのだし加減、いい感じだぞ」
『ほんとですか?今日どれくらいの配分で入れたっけ…』
木曜日、6時半。私はキッチンでお弁当を作っている。
今日は臣さんが朝ご飯当番で、綴くんも午前中早くからバイトがあるらしく、朝から賑やかだ。
「唐揚げも美味い。二度揚げするとやっぱ違うな」
『全員分となると時間的に無理だけどね』
「弁当のおこぼれに預かれるのは、俺達の特権だな」
「早起きは三文の徳ですね」
私がお弁当を作る前で、臣さんと綴くんは先に朝ご飯を食べている。
お弁当のおかずの余り食べるのって、なんか特別な感じするよね。朝から豪華っていうか。
今日のお弁当を注文しているのは、至さん、三角くんと密さん、万里、いづみさん。
『…よし、可愛い!ね、見て』
「ん?…密さんと三角さんの弁当か。A、器用だよなぁ」
「はは、海苔が猫とスーパーさんかくくんになってる。確かに可愛いな」
粗熱がとれるまで蓋は半開きにしておいて、次のお弁当箱に手を伸ばす。至さんのもできてるし、あと2人分だ。
「他は誰が注文してるんだ?」
『いづみさんと万里ですね』
「あぁ、2人で外部の劇団に手伝いに行くんだっけ」
「万里もすっかり演劇馬鹿だな」
「入団してすぐの頃とはえらい違いっすよね」
『ね、ほんとに。もう夢中だもん』
芝居のことばかり考えて、素人の私にまで意見を求めたりして、吸収できるものは全て自分に取り込んで、常に向上しようとしてる。
何でもできるから、何にも本気になれない。そうやって諦観していた万里が、嘘のようだ。
演劇と関わっている彼の瞳は、いつだって輝きに満ちている。
私が一番好きな瞳。
「…な、言った通りだろ」
「っすね」
『え?』
「いや、昨日臣さんや東さんと話してたんだけど」
「Aは万里のこと考えてる時が、一番綺麗だよなって」
『ファ!?なななななにを』
「焦んな焦んな。お前らのペースでいいんだからな」
「そうだぞ。ただ俺達は、ちゃんと見守ってるからなってだけだ」
『ヒョエ…スーパーお兄ちゃんかよ……』
私、万里のことどう思うかとかカントクさん以外に相談してないんだけどな?バレバレだな?
いや別に隠してはないけど…ってかそもそも、まだ結論出してないんですけど…。
「お兄ちゃんなめんなよ?」
「はは、お見通しだぞ」
『ヒョエ…スーパーお兄ちゃんじゃん……』
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わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時