帰り道 ページ24
万里SIDE
『万里、咲也くん、真澄くん。ちょっと話聞いてくれる?』
帰り道。もはや定番となった4人での下校途中、周囲に人影が無くなった堤防沿いの道でAはそう言った。
俺は咲也、真澄と顔を見合わせて、Aに視線を向ける。
「勿論いいよ!」
「…別に、構わない」
「何でも聞いてやるよ。…だから、話せ」
ったく、遅すぎるくらいだ。
『ふふ、ありがとう。えっと…3人とも気づいてるだろうけど、私に対する学校の子達の様子がおかしくて』
「…うん。やっぱり、ちょっと変だよね」
「今までと比べりゃ、気持ち悪いくらいだろ」
「コソコソと、鬱陶しい」
『やっぱ下級生のとこもか…』
「俺が何か聞かれたりはしないけど、生徒会長の話題が出ると、急にトーンが変わる」
カントクちゃんのことばっか考えてる真澄が言うんだから、相当だな。
と言っても、真澄もAのことは気に入ってるみたいだし、純粋に心配もしてるんだろうけど。
『咲也くんはどう?何か言われたりしてない?』
「あ、俺は…実は今日、友達にAと関わるのはやめたほうがいいって言われたんだ」
『え』
「何でって聞いたら、最近良くない噂が多い、仲良さげに見えるけど騙されてるんじゃないかって」
「くだらねーな」
「うん。くだらない」
「勿論、そんなことないって言ったよ。俺、Aとは前から図書室でよく話してたし、噂も全部出鱈目だって。友達は半信半疑って感じだったけど…」
『うーん、そっか。否定してくれてありがとね、咲也くん』
「そんな、お礼言われることしてないよ。俺にとってAは、大切な友達だから」
『私も、咲也くんは大切な友達だよ』
緩く微笑んだAに、咲也も同じような笑みを返す。
何と言うか、この2人が揃うと妙に気の抜ける空間が出来上がる。
『でも正直、大した害はないんだよね。元々浅い人間関係敷いてたし、1人でいるのも好きだし、最近はずっと万里が隣にいてくれるから』
「…まぁな」
咲也に向けられていた微笑みが自分に向けられて、思わず返事に詰まる。
心臓に悪い、急にこっち向くな。
『ただ、放置しておくのも危険な気がして』
「…下手に刺激するのも、良くない」
『そう、そこなんだよね』
真澄の言う通り、実害がない以上、こちらから何か仕掛けても効果は無さそうだ。逆に悪化しかねない。
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わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時