検索窓
今日:3 hit、昨日:22 hit、合計:116,490 hit

帰り道 ページ24

万里SIDE

『万里、咲也くん、真澄くん。ちょっと話聞いてくれる?』


帰り道。もはや定番となった4人での下校途中、周囲に人影が無くなった堤防沿いの道でAはそう言った。

俺は咲也、真澄と顔を見合わせて、Aに視線を向ける。


「勿論いいよ!」

「…別に、構わない」

「何でも聞いてやるよ。…だから、話せ」


ったく、遅すぎるくらいだ。


『ふふ、ありがとう。えっと…3人とも気づいてるだろうけど、私に対する学校の子達の様子がおかしくて』

「…うん。やっぱり、ちょっと変だよね」

「今までと比べりゃ、気持ち悪いくらいだろ」

「コソコソと、鬱陶しい」

『やっぱ下級生のとこもか…』

「俺が何か聞かれたりはしないけど、生徒会長の話題が出ると、急にトーンが変わる」


カントクちゃんのことばっか考えてる真澄が言うんだから、相当だな。
と言っても、真澄もAのことは気に入ってるみたいだし、純粋に心配もしてるんだろうけど。


『咲也くんはどう?何か言われたりしてない?』

「あ、俺は…実は今日、友達にAと関わるのはやめたほうがいいって言われたんだ」

『え』

「何でって聞いたら、最近良くない噂が多い、仲良さげに見えるけど騙されてるんじゃないかって」

「くだらねーな」

「うん。くだらない」

「勿論、そんなことないって言ったよ。俺、Aとは前から図書室でよく話してたし、噂も全部出鱈目だって。友達は半信半疑って感じだったけど…」

『うーん、そっか。否定してくれてありがとね、咲也くん』

「そんな、お礼言われることしてないよ。俺にとってAは、大切な友達だから」

『私も、咲也くんは大切な友達だよ』


緩く微笑んだAに、咲也も同じような笑みを返す。
何と言うか、この2人が揃うと妙に気の抜ける空間が出来上がる。


『でも正直、大した害はないんだよね。元々浅い人間関係敷いてたし、1人でいるのも好きだし、最近はずっと万里が隣にいてくれるから』

「…まぁな」


咲也に向けられていた微笑みが自分に向けられて、思わず返事に詰まる。
心臓に悪い、急にこっち向くな。


『ただ、放置しておくのも危険な気がして』

「…下手に刺激するのも、良くない」

『そう、そこなんだよね』


真澄の言う通り、実害がない以上、こちらから何か仕掛けても効果は無さそうだ。逆に悪化しかねない。

お前らしく→←応援



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (324 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
852人がお気に入り
設定タグ:A3! , 摂津万里
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。