変人幼馴染 ページ22
『佐古』
「…来たね。和藤」
5限目、保健室。
指定された通りに来れば、先程連絡した彼女が気だるげに出迎えてくれた。
彼女は佐古立香。
この花学内で、万里と咲也くん、真澄くんを除けば唯一、私がほぼ素で喋る相手だ。女子で唯一、と言い換えてもいい。
彼女との関係性については、まあ特筆することも無いのだが…。いわば幼馴染。
『てか、しれっと授業中に呼び出すな』
「いーじゃん。どうせ入試終わってるし」
『生徒会長が授業中に仮病で抜け出してんだぞ…』
佐古は昔、私の地元近くに住んでいた。
時折遊んだりしていたから、私の素も知ってる。ゲームのことも何となく。
こっちで再会したのは偶然。だがその後、旧交を温めたりはしていない。
彼女自身、漫画やアニメ方面特化のオタクで、「ひっそりと影に同化して生きたい」が口癖。
そのため、外面を作り上げて生徒会長にまでなった私と関わるとろくな事がないと言って、殆ど関わることがないのだ。
要は目立ちたくないのである。
基本何事にも無気力無関心。
保健室の先生と仲が良く、時々保健室で留守番するのを条件に授業をサボっているらしい。
同人作家でもあるため、1年の殆どは締め切りに追われている。
今も、誰もいない保健室のベッドに机を出し、原稿を広げていた。
「…で?」
『"裏切り者"の生徒会長、"期待外れ"で残念』
「…ほんと主人公気質だよね、和藤の外面って」
相変わらず的を射ない会話。
だが、私達は…というか、佐古はこれが通常運転。変人なのだ。
ため息を吐き、佐古は広げた原稿を軽くまとめて机の端に押しやった。
「面倒なことになってるよ」
『予想はしてた。きっかけは?』
「それこそ予想ついてんでしょ。謎のエリート風イケメン、クラスの不良イケメン、下級生のアンニュイイケメン」
『イケメンのゲシュタルト崩壊が起きる…』
「現実逃避する気持ちは分かる」
確かに予想通りではある。
ここ数日で、周囲から反感を買うきっかけになりそうな出来事なんて、至さんが学校に来て、弁当を忘れたあいつらをしばいて回ったアレしかない。
『でも妙に期間が空いてたけど?』
「その後からあんた、割と素を出すようになったでしょ。最初は気の迷いか何かだと思ってたけど、様子見てそっちが本性って気づいたんじゃないの」
『向こうも戸惑ってた訳ね』
「あんたがイケメン達と関わってるのを見て、面倒な方向に進んでるのは確かね。ただ、黒幕がいる」
『…黒幕?』
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わず - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (2019年9月10日 14時) (レス) id: 1511d926d3 (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - 更新待ってます (2018年8月30日 2時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - すごく面白くていつも楽しみにしています!更新応援してます! (2017年9月6日 8時) (レス) id: a8b7ed9872 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり。 - とてもとても面白くて、何回もみています!ゆっくりことこととお待ちしております。 (2017年8月5日 19時) (レス) id: 392125dbe2 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 最高でした♪ 続き、楽しみにしてます! (2017年7月4日 23時) (レス) id: c79b5cac48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:群青 | 作成日時:2017年6月14日 9時