2.一歩 ページ4
あのあと、俺は憂さ晴らしに町を散策することにした。
一応、ここに生まれ変わって19年は経っているから大体地形は把握した。
…きっと、記憶力はいいはずだから。
『ん？』
遠くで、何やら野次馬ができていた
浮遊魔法をかけて、その野次馬の目線の先を見ると…
そこには少年がいた。
……というより、青年か？
そいつと、大のおっさんが口論を繰り広げていた。
どちらも、隙さえあれば魔法を放ちそうな勢いで、ハラハラする。
？「お前がぶつかってきてこいつに怪我させたんやろ!?
それなのに弁償しろ、とか可笑しいやろ!!」
「へっ！下民の癖にここらを物乞いでうろちょろしてるからいけないんだろうが！
てか、お前のそのボロ雑巾みたいな服…。
さては、お前も下民だな？
はっ、泥鼠がこそ泥を庇ってやがるぜ！」
？「ｯ……」
言い返せず、うつ向く少年を見ていられなかった。
野次馬の隙間を通り抜け、
彼等を仲介する位置に立つ。
『やめないか』
まるで正義面してるけど、
これくらいしかやることがない。
俺は、本来なら憎まれて生きるべきだから。
「シュ、シュヴァルツ家の次期当主!?
チッ…お、覚えておけよ!!」
逃げ腰で去っていった男。
後ろにはまだ少年がいた。
『少年、名前は？』
彼は少しうつ向いていたからしゃがんで目線を合わせる。
「……ロボロ。」
『ロボロ、か。いい名前だ。
君、住んでいる所は？帰り道、もしかしたらまたあの男とかち合うかもしれない。
送っていこう。』
「……おん。」
自分と同じくらい白い手が、鍛え上げられてゴツゴツとした自分の手を掴む
『(ああ……まるで、前世の孤児みたいだ)』
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作者名：かどユキ 芝 | 作成日時：2021年5月24日 23時
