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タクシーに乗り込むとシルクが慣れた口調で行き先を告げる。
シルク「俺がずっと通ってるとこなんだけど、まじで美味いんだよ」
メンバーにも内緒にしてんの、
と子供のような笑顔で話すシルク。
A「そんなお気に入りの場所、私に教えてくれるの？」
私の問いに少し黙り込むと
シルク「Aだから連れていきたくて。」
と真っ直ぐな瞳と目が合った。
心臓が跳ねる。
シルクが時々見せる眼差しは何故かいつも目が逸らせない。
…なんだ、この感情。
A「そっか、ありがとう」
何と答えればいいか分からなくなり、そう答えた。
店は思っていたより、こじんまりとしていた。
下町の良さが残っていて、どこか懐かしさを感じる。
半個室のような部屋に通され席に着くと
シルク「おすすめはこれで、人気メニューはこれらしい」
シルクがメニューを開いて説明してくれる。
A「んー、じゃあおすすめのやつにする」
そう言うと店員を呼び私の分もあわせて注文してくれた。
シルク「今日の企画結構良かったでしょ？」
注文を言い終えたシルクが自慢げな表情で私の言葉を待つ。
A「うん、すごい楽しそうだった(笑)」
シルク「偶然気付いちゃったんだよね、きれいに分かれてんじゃん！って(笑)」
そう言って楽しそうに話をする。
話すの上手いなあ。
人を飽きさせないトーンと話術に思わず感心してしまう。
シルク「ごめん、俺ばっか喋ってたわ。」
A「あ、違うの、話すの上手いなーって感心しちゃって声出なかった。」
シルク「そう？俺から言わせればAの方が言葉の使い方上手くね？話すとき相当言葉選んでるよね。」
いかに人に合わせるかを考えながら生きて来たからね。
ネガティブな自分が顔を出す。
でもそんな理由話したらシルクは楽しくない。
そう思い直し
んーそうなのかな、と誤魔化した。
少しして運ばれて来た料理はとても美味しそうで舞い上がる。
シルク「目、輝いてんぞ(笑)」
改めて言葉にされ恥ずかしくなり、口を強く結んだ。
A「そんな観察すんのやめてよ」
シルク「だって面白えもん(笑)」
……観察される側は恥ずかしさしかないんだけどなあ。
言い返す言葉が見つからず、強引に料理を口に運んだ。
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作者名：みーみ。 | 作成日時：2022年9月18日 22時
