1. ページ1
たわいも無いメッセージにつかない既読にため息が出る。
布団の中で目をこすりながら、私はスマホを見つめ続けてしまう。
YouTubeの検索窓にクイズノックと打って、動画を再生する。
動画の中では愛しい人が、笑っている。
「すきです」
呟いたって届かない。彼はものすごく忙しいから私のことなんて眼中にないの。
「理子は酔いすぎ」
「颯は酔わなすぎ」
すっかり日が暮れて、終電が迫る時間に私は同期の水上颯と焼き鳥を囲んで飲んでいた。
もう何本目かわからない日本酒の徳利を傾ける。ついでに颯の分も注ぐと、手元が狂って少しこぼれてしまう
「あーあ。」
「ごーめん」
へへっと笑うと、颯はいつものように許してくれる。
我ながら心が海のような友達を持った。彼はある種こだわりが強い人だが、どうでもいいと思ったことはそれなりに付き合ってくれる質らしい。
今日も好きな人から1日既読がつかないという馬鹿げた理由で、居酒屋に引っ張り出したけど、二つ返事で来てくれた。
「よくそこまで人のこと好きになれるね」
「颯はドライすぎるよ」
「あーね。なんかあんま興味わかない」
「だから続かないんだよ」
「でも理子とは続いてるよ?」
「そりゃ飲み友だからね」
いや、こんなに続く飲み友も珍しいから。そう笑った颯とお猪口で乾杯した。
颯は私が誰が好きなのか知らない。ましてや自分の高校時代からの先輩で、毎週テレビの中で顔を合わせている人だなんて知る由もないわけだ。
「そろそろ誰なのか教えてよ」
「ふにゃって笑う人。筋トレが好きで面白い人」
「武井壮?」
「お、どうかな〜」
「お、ワンチャン武井壮あるね」
本気で当てる気なんてないらしい。酒に強い颯がやっと酔ってきて私は嬉しくなる。
もう一本いっとこうと手をあげる。
その日は朝までコースだ。
80人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Å - 面白いです!。お話のつづき楽しみに待ってます! (2018年11月3日 21時) (レス) id: eec85e62da (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年11月1日 7時) (レス) id: 90f88fea4b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ふすま粉 | 作成日時:2018年11月1日 3時