12. ページ12
みかside
「これで全部かな？」
「うん、ありがとう。助かった」
今日は川上さんのお引越しの日だった。
ちょうど契約更新の時期だったからもう少し立地のいい家を探していたらしく、隣の同系列のマンションが入居者募集中だと伝えたら即決してくれた。
系列マンションに住んでる人が紹介を行うと、初期費用がすこしお安くなることが決め手だったときく。
私は最後の段ボールをたたんで、紐でくくった。
あまり荷物の多くない川上さんの引越しはすぐ終わって、段ボールが片付くと引越し直後とは思えないぐらい落ち着いた空間が完成した。
「あれ、ベッドがないね」
「うん、新しく注文して明日届く。」
「今日はどこ泊まるの？」
「オフィスに泊まらしてもらう」
「え、オフィスって泊まれるの？！」
「作業が押してる時はよおとまっとるよ。」
「楽しそう…！！！！」
クイズノック のメンバーでお泊まりなんて、楽しいに決まってる。夜はクイズをしたり、寝っ転がってわいわい話したりするのだろうか。
「…そんないいもんじゃないと思うけど…」
川上さんは苦い顔をしていた。
「こんばんは！」
「はーいってみかちゃん？！」
夜のオフィスにいくと伊沢さんとふくらさんがテレビを見て寛ろいでいた。
驚く伊沢さんとは対照的にふくらさんはいらっしゃーいとゆるゆるした対応だった。
「ふくらさん、お世話になります。」
「いーや、俺も作業立て込んでたし二人が手伝ってくれるなら全然泊まるよ」
「え、なに…三人でオフィス泊まるの…？」
「はい、お泊まり合宿ですよ！」
「いいな！俺も参加したい」
「それはだめ。」
はしゃいでる伊沢さんに川上さんはぴしゃりと言い放った。
「最近泊まり続きじゃないですか。今日ぐらいゆっくり家で寝てください」
「ここは俺の家みたいなもんなんです〜お前だってこだわりの新居でぐっすり寝てなよ〜」
「残念〜ベッドも布団も明日届くのでそれは無理なんですよね〜」
「じゃあ寝袋貸してあげるから家で待ってなよ〜朝早く届くかもしれないよ〜」
「生憎時間指定なんですよね〜」
バチバチと火花が散るような言い合いを始めた二人をよそに、ふくらさんは優しく手伝いの説明をしてくれた。
「こうですか？」
「そうそう、それを自由に貼って動画のサムネ作って欲しいんだよね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふすま粉 | 作成日時：2018年10月26日 0時
