私、家に帰りました。 ページ1
｢っあ〜〜……朝…か…｣
リリース当初からプレイしているMMORPGをやっていると、カーテンの隙間から気付けば朝日が射し込んでいた。
またか、と思いつつ朝の支度をし学校へ向かう。
友達と呼べる存在はいるが親友と呼べる存在はいない。ぶっちゃけ趣味が合う人が少ないのだ。オマケに私は人見知りときた！こんなんでも友達がいるんだから世の中は意外に優しいのかもしれない。
私自身かなり恵まれていると思う。優しい両親に貧しくない家庭。親切な親戚に、趣味の合う友達。
不自由無くゲームライフを楽しんでいた。
いつものように朝を迎え、
いつものように惰眠を貪る。
いつものように帰路につく、
いつものように家の扉を開け……
開け……？
珍しく扉に鍵が掛かっていなかった。
今日は両親が仕事が休みのはず、しかし電気がついてないリビングが玄関から磨りガラスの入った扉越しに見える。
鍵を閉め忘れて外に出ているのだろうか、と思ったのだ。それが普通だろう。
だがしかし、私の目の前には四股を切断された両親が、目隠しをされ、猿轡を付けられ、いつも座っていた椅子に縛られている。
｢は？｣
いやいやわけがわからない。え？これ、は？
そもそも両親なのか？な、んで？
疑問は溢れて止まらない。恐る恐る目隠しを外す。紛れもない両親だ。滴る血はまだ固まっておらず、体もまだ温かい。
だが、もう死んでいる。
その事実にようやく頭が追いつき、自分の声帯から出てるとは思えない叫びが聞こえる。
いつもの暖かい家庭はもう二度と見られず、
いつもの優しい母の声、
いつもの少し無愛想な父の声、
いつもの日常が全て跡形もなく崩れた。
｢いつも｣が消えた。
私の意識も消えた。
続く (更新停止中)
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作者名：麒麟 | 作成日時：2020年2月4日 18時
