【H×H】幸福と不幸�勝撻�ルア】

53話 ページ12

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キルアの目と私の目があった瞬間、頰に何かが伝った。



キルア「ん…え……はっ⁉‼

なんで泣いてんだよ⁉」



『うぅ……キルアぁ〜〜…』



キルアの腕の中にスッポリとハマり、その中で泣き喚く私。


キルアは受け止めざるを得なくて、そのまま私の頭を撫でる。



『はぁ…実はね



兄上が、迎えに来るって…』


キルア「…‼‼」



私の頭を撫でる手がピタッと止まり、顔を見なくても動揺していることが分かった。



『キルアやアルカちゃんと別れなきゃいけないんだ、って思うと…



悲しくて……』



いきなりごめんね、とキルアから離れ、ベッドに座った。


キルア「……


つか、そんな嫌ならずっと俺達と旅続ければいいんだよ！」


『兄上は……




過去に私を一度殺した事によって、精神的なダメージをかなり受けたと思う…



私と再会できて、兄上が「今度は守ってみせる」って言った時……気付いたんだ




本当は…





守られるべきなのは、兄上の方なんじゃないかって』



キルアは俯き、黙って私の話を聞いていた。



『私に関して後悔している事があるのなら…




私が、守ってあげなきゃ…

側にいてあげなきゃダメなんだ、って…




だから、兄上の元を離れられない……



離れたくないの




でも、キルア達と別れるのも辛くて…』





拳をギュッと握り、キルア同様俯く。
すると、キルアは俯きながら口を小さく開いた。






キルア「お前のやりたい事、あんじゃん」



『え……？』






キルア「"ダグナを守ること"


それがお前のやりたい事




そんで……


その道の途中で、もし…


どうしても辛くて耐えられないって時があったら…




また俺達のトコへ来ればいい



いつでも連絡し合えるし、たまには俺とお前とゴンでどっか遊びに行こーぜ」




ニカッと笑ってそう言うキルアの声は、明るく聞こえてどこか震えていた。




『キルア……』


キルア「だから、今だけッ…」




そう言って、突然私に覆い被さってくるキルア。




『キルア⁉ちょっ、





ん……ッ』




脳がとろけるような、甘いキス



キルア「ふ…ッ、…ん……」



それでいて、深く…熱いキス



『ん………ふふっ……』


キルア「…何笑ってんだよ」



こんなにも、



『だって…』



こんなにも……



『幸せすぎてさ…っ』



幸せになれる日が来るだなんて。



キルア「…そうかよっ」



あの日の私から、誰が予想しただろうか。

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