【H×H】幸福と不幸Ⅲ【キルア】 (ページ15)

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110話ページ15

私は夢をみていた

真っ白な背景に、目の前にいる小さい頃の私

「ほんとうに、それでいいの？」

『…何のこと？』

「折角おともだちができたのに」

『いいんだよ』

「なんで？」

『友達を傷つけたくないから

私が友達を殺す前に離れていくしかなかったんだ』

「貴方は…」

『ん？』

「過去にとらわれすぎている」

『…』

「貴方は化け物じゃない。

確かに貴方は…貴方と私はオカシイかもしれない

たくさんの人を殺して、お母様をも殺した

でも…感情がある
ソレは、本当の化け物には無いモノ

人を殺すたびに、泣いた
泣いて泣いて…
お母様を殺した後も、泣いたよね

私も貴方も「±0」を持って産まれてきてしまった
お母様は私がお金を持ち帰ってくる度に、笑顔になってくれた

そんな笑顔をずっと見ていたくて…努力し続けてきたのに

お母様は、そんな私じゃなくて私の「能力」だけを見ていた。今まで、ずっと。

それを知った貴方は、壊れてしまった

でもそれは、悲しみと寂しさという感情を持っていたから

感情を持っていなければ、私も貴方も今頃は意志を持たず、お母様の言う事だけを聞くただの機械だった

"心"を持っている貴方は、化け物じゃないの」

『それが立証したとして、何になるの？

今の私はもう壊れちゃったんだよ？』

「まだ…まだ、壊れてなんかない

最後に彼を殺そうとしたとき…泣いていたもの

そして、"好き"という感情を忘れていなかった」

『私に感情があるとしても‼‼

キルア達を殺そうとした私を、キルア達はもう人だと思ってくれない‼

私のことなんて、認めてくれない…‼』

「何言ってるの？

過去を話したときあの2人は認めてくれたでしょ？」

『私の過去を認めてくれたとしても、キルア達を殺そうとした今の私のことも認めてくれるとは限らない‼』

「ふふ…」

『なに、笑ってんの？』

「ゴンは、貴方に殺されそうになったとき…怯えずに貴方のことを心配してくれていたでしょ？

貴方が駆け出した時も、呼び止めようとしてくれた」

『‼』

「それにキルアだって、抵抗もせずにただ貴方を見つめていた

それは貴方をしっかりと理解して、受け止めてくれた人達にしかできない行動なの

そんな優しい友達を貴方はまた裏切るの？」

『…それ、は』

「もう時間が無い

最後に言っておくね

心を持っていてくれて、ありがとう_______