二十四 ページ25
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咳も止まり、私の心に余裕が出来た頃。
キルア「風邪か?」
『…ううん
ホントに大丈夫だから
……ごめん』
私が謝ると、キルアは一瞬目を見開いて口を開いた。
キルア「何で謝るんだよ」
『寝に入ってたでしょ。驚いてたし』
キルア「俺基本寝なくても平気な体だから」
暗殺一家の息子だからそういう訓練も受けてたのかな…?
『………そう
じゃあ寝るね
おやすみ』
キルア「ん」
私は行き場をなくした心のモヤモヤを閉じ込めるように目を瞑り、深い眠りに入った。
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『ん……
ふぁ…ぁ』
欠伸をしながら起き上がり、両腕を伸ばす。
そして隣で寝ているキルアの方に目を移し、小さく「熟睡してんじゃん」と呟いた。
キルアは何日間起きていられるのだろうか。
『……』
ふと、ルトの笑顔が私の頭を過った。
ルトは……何日間眠っているのだろうか。
『大丈夫……私が、必ず…助けてあげる
だから……待ってて、ルト…‼』
私は爪が食い込んで血が滲み出るほどの強さで拳を握り、この場を去った。
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ガサガサ…
『!』
ほんの僅かだが、背後の方の茂みから音が聞こえる。
『誰?』
「……よお、ガキ」
その茂みから出てきたのは、モブ臭たっぷりのおじさん。
私のプレートを奪いに来たのだろう。
「単刀直入に言う。
お前のプレートを渡せ」
『やだ』
即答でそう答えると、おじさんは顔面に青筋を立てて口を大きく開いた。
「殺すぞ⁉」
『殺す?私を?
無理無理。
音鳴らしちゃう時点でクズ確定だし、
「ターゲットのプレートを奪うのは無理だったから子供を狙う」っていう考え方自体がバカすぎるね
少しは相手の強さも見極めた上で考えないと。』
「ふざけてんじゃねェ‼‼」
おじさんはとろい動きで私にナイフを振りかざそうとする。
『子供相手に武器?
こっちは手ぶらなのに?
…ハッ、大人気ないねェ』
私はおじさんの背後に回り込み、首に手刀を振りかざした。
「ぐッッ‼」
バタン、と音を立てて倒れたおじさんを数秒見つめてから目を逸らし、歩き出した。
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しゃーぺん@彩(プロフ) - ももさん» ありがとうございます!幸福と不幸に比べ、この作品は結構短めになりますので、この作品が終わり次第幸福と不幸の短編集作成を考えています!もしよければそちらの方も宜しくお願い致します! (2019年5月30日 23時) (レス) id: 0a0b323a42 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 幸福と不幸から見てます!今回の作品も本当に良くて毎日毎日楽しみにしてます!! (2019年5月30日 18時) (レス) id: ed24bd7751 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃーぺん@彩 | 作成日時:2019年5月15日 23時