30話 過去編 ページ31
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『お母様!』
私は玄関の扉を開けるとそのままお母様に抱きついた。
「…どうしたの?(ニコ」
お母様はやつれた顔で私に笑いかける。
『今日ねっ!
私、転んじゃって
そしたらね、目の前におかねが落ちてたんだ!』
するとお母様は「…何ジェニー?」と真顔で私に問う。
『うぅん、わかんないや
これだよ!』
私は拾ったおかねをお母様に差し出す。
するとお母様は目を大きく見開き、おかねを私から奪い取った。
『あぅ…私のおかねーー!』
私はぷくーっと頰を膨らませる。
「ッ…!
こ、これは私が預かっておくから、欲しい物があったら言いなさい」
お母様は、顔に少し冷や汗を浮かべながらニコリと笑う。
『うん‼』
.
私はあの日以来、毎日のようにおかねを拾ってくるようになった。
お母様はそんな私を不思議に思い、私のことを祖母に相談した。
実家から帰って来たお母様に抱きついて、いつものようにおかねを差し出した。
『お母様?お祖母様と何話してたの⁇』
そう私が問うとお母様は「貴方のことよ」と笑った。
私はふとお母様の目を見る。
いつもの綺麗な目とは違って
どこか闇を帯びているような、何かを企んでいるような…そんな目だった。
夜中。
ガチャッ
玄関の扉が開く音がして、私は目を覚ます。
『お母様が帰って来たんだ…!』
自分の部屋から出て、お母様のところへ向かう。
『お母(「…足りない」
…?』
お母様が何かを呟いている。
「…お金が……足りない」
『お母様…?』
お母様の様子がおかしい。
そう思った私はお母様に声をかけた。
するとお母様は虚ろな目で「A…こんな夜中まで起きていたのね」と言いながら私に近づいてくる。
『お母様…どこ行ってたの?』
「A…我慢してね」
突然意味不明な事を言い出したお母様に何か危機感を感じ、私は一歩後ずさった。
バキッ‼‼
それは、一瞬のことだった
腕の骨が折れる音と共に、私は向こう側の壁まで吹っ飛んでいた。
『ッガハ…‼
おかあ、さ、ま』
「A…
私を幸せにしてね?」
虚ろな目をしたお母様の言葉を最後に、私は意識を失った。
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しゃーぺん@彩(プロフ) - Ruiさん» そう言ってもらえて嬉しいです!投票ありがとうございます! (2020年8月10日 22時) (レス) id: 29f36bfc35 (このIDを非表示/違反報告)
Rui - しゃーぺん@彩さん» イベント参加ご協力感謝致しますこの作品一番好きなので投票させて頂きました! (2020年8月10日 22時) (レス) id: 79cb60a812 (このIDを非表示/違反報告)
しゃーぺん@彩(プロフ) - Ruiさん» 了解です! (2020年8月10日 22時) (レス) id: 29f36bfc35 (このIDを非表示/違反報告)
Rui - しゃーぺん@彩さん» 嬉しいです画面にそのままペースト、もしく通常検索すれば出てくると思います。 (2020年8月10日 21時) (レス) id: 79cb60a812 (このIDを非表示/違反報告)
しゃーぺん@彩(プロフ) - Ruiさん» 是非参加させて頂きます!!お誘いありがとうございます! (2020年8月10日 11時) (レス) id: 29f36bfc35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃーぺん@彩 | 作成日時:2019年1月30日 21時