第二十八話 ページ9
「えっ、蛭愛ちゃんまだ帰ってないんですか!?」
伊黒の屋敷に上がらせてもらっていた甘露寺は、蛭愛が京に向かって一週間経つことに驚きを隠せなかった。
「一週間は流石に心配しますね…」
「ああ。鎹烏を飛ばしているが一向に知らせがこなくてな」
「………迎えに行ってあげたらどうでしょうか?」
「迎え?」
首を傾げる伊黒に、おずおずといった様子で甘露寺は意見を述べた。
「何かあったのかもしれませんし…」
「…今のところそう言った報告は来ていないが」
「報告が来るより先に行った方が、良いと思います。理由を話せば、きっとお館様も許可を出して下さると思います」
「…そうか」
甘露寺はにこりと微笑み、伊黒は心の内を悟られないように俯くことしか出来なかった。
*
許可を得て、伊黒は今京都へと向かっている。
任務でない故些かのんびりとした足取りとはなっているが、着くまでに心を落ち着かせたいという目的もあった。
ーーアイツに男がいたらどうする?もし俺が着いた時に"事を致していた"ら、どうすればいい?
お互いの同意のないものならまだしも、継子である者がそう簡単に屈する訳はないだろう。
嫌な想像ばかりが頭をよぎり、走る速さがどんどん上がってしまう。それでももう構わなかった。
大事な継子が、愛弟子が、自分の知らないところで男に媚びを売っている。
その想像だけで吐き気がし、早く見つけて連れ戻そうと強く思った。
176人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茜(プロフ) - 凪さん» 読んで下さりありがとうございます!キメツ学園時空で結ばれることを祈りましょう…! (2020年2月3日 23時) (レス) id: 864d8b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - ほんとに面白かったです、でも少しだけ悲しいなあってなりました。来世では結ばれて欲しいです (2020年2月3日 23時) (レス) id: b575dccd32 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - くまっ子さん» わーありがとうございます!!(*´ω`*)楽しんでいただけたなら嬉しいです! (2020年1月4日 23時) (レス) id: 864d8b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
くまっ子(プロフ) - 全部読みました!こういったお話は個人的に大好きなのでのめり込んでその日全て読んでしまいました!次の作品も楽しみにしてます(^^)お疲れ様でした(*´∇`*) (2020年1月4日 22時) (レス) id: 8aff784c04 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 澪桜さん» ありがとうございます!本誌の更新速度によって本編を進めていこうと思ってます(´∀`) (2019年11月13日 17時) (レス) id: 864d8b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茜 | 作成日時:2019年10月7日 18時