第二十六話Δ ページ7
宇治川の水は冷たかった。
足首まで浸かるだけでもかなりの勇気が必要で、水が体に馴染むまでは全集中の呼吸「常中」を意識して使うことにより体温を整える。
隊服は脱げ、とのことだったので適当な呉服屋で着物を買い、隊服は風呂敷に包んで川岸に置いておいた。
ーー何だか瞑想みたい。
仏門に入る余裕も習う時間も無かったが、念仏くらいは唱えれるようになっておけば良かった。そうすれば、この奇妙な状態もまだそれらしく見えたのに。
*
川に浸っていると、色んなことを考えた。
こんなことをやっていて良いのだろうか、鬼は大丈夫だろうか、あの声は誰だったのか、師範に叱られてしまうだろう、等々。
ーー嗚呼、師範。どうして私は、あなたの一番になれないのでしょう。
私が一番こんなにも近くにいて、あなたを強く想っているのに、どうして駄目なのでしょうか。
強くなります。いずれ柱となる為に鍛錬します。色恋にうつつを抜かして腑抜けることなど絶対にしません。だから、あなたと添い遂げさせてください。
甘露寺様のことを「あんな娘」と思ってしまう自分がいる。いや、それすらももう構わない。私はあの人とは違う。違う。違う!
「っ…私はっ、師範以外の人に目を奪われたりなんて、しない……!」
脳を溶かすかのような抑えきれない程の憎悪と怒り。ああ、恋に堕ちた者とは、かくも醜いものなのか。
ズキ、ズキと頭が痛む。早くこの禊のような儀式を終えて、師範の元に戻らなければ。
***
追記 テスト週間のため更新遅れます
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茜(プロフ) - 凪さん» 読んで下さりありがとうございます!キメツ学園時空で結ばれることを祈りましょう…! (2020年2月3日 23時) (レス) id: 864d8b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - ほんとに面白かったです、でも少しだけ悲しいなあってなりました。来世では結ばれて欲しいです (2020年2月3日 23時) (レス) id: b575dccd32 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - くまっ子さん» わーありがとうございます!!(*´ω`*)楽しんでいただけたなら嬉しいです! (2020年1月4日 23時) (レス) id: 864d8b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
くまっ子(プロフ) - 全部読みました!こういったお話は個人的に大好きなのでのめり込んでその日全て読んでしまいました!次の作品も楽しみにしてます(^^)お疲れ様でした(*´∇`*) (2020年1月4日 22時) (レス) id: 8aff784c04 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 澪桜さん» ありがとうございます!本誌の更新速度によって本編を進めていこうと思ってます(´∀`) (2019年11月13日 17時) (レス) id: 864d8b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜 | 作成日時:2019年10月7日 18時