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第二十四話Δ ページ5

「こんにちは、蛭愛ちゃん。この前の任務の時、借り物をしていたのを忘れていてごめんなさい!」


屋敷にやってきた甘露寺様はそう言い、はい、と私に紅葉の手拭いを渡した。


「ああ…そんなに気にしないでください」


穏やかに対処して受け取るが、正直内心では即刻立ち去ってもらいたいという思いが渦巻いていた。早く、師範に見られる前にーー


「甘露寺、か?」


遅かった。


心の中で醜くも舌打ちをし、簡単に彼女が来た理由を手拭いを見せながら説明する。


「そうか。良かったら上がって行くか?丁度良い菓子がある」


「えっ、良いの!?」


「ああ。橋波、直ぐに茶を淹れてくれ」


「分かりました」


酷い、こんなのあんまりだ。





縁側で仲睦まじく一服をする二人。


ーーああ、良いなあ。羨ましいなあ。私も、あんな風に師範の隣に座って、話したいなあ。


「前の任務ではアイツが世話になった」


「ううん、私の方こそ!蛭愛ちゃんとっても強かったわ!」


「…そうか」


ああいうのを、お似合いの恋仲だと言うのだろう。


きっと、彼女の白無垢姿は雪の中に佇む鶴のように美しくて、その隣にいる誰かはとても幸福に違いない。


「…っ」


やだ、胸が痛い。痛い、痛いの、どうしようもないくらい。苦しくて、辛くて堪らない。


師範、と呟きそうになった言葉を飲み込んだ。きっと口に出せば後悔するから。


もしも、もう二度と会うことのない隊士に彼女をどう思っているのか訊かれたら、私は微笑んであの人が妬ましい、と答えるだろう。



「ーー橋波、橋波!」


鎹烏がやって来た。私の上で旋回をし、その翼をはためかせる。


「京都ニテ鬼ノ存在ヲ確認!支給迎エトノコト!」


この場から逃げ出せるのだから、この時ばかりは、鬼に感謝せざるを得なかった。


***
作者です。一応言っておきます。

夢主ちゃんの呼吸、「雨の呼吸」は他の方の作品で扱われる呼吸と被りやすく型の名前も似ることがありますが全く関係はないです。私の作品でも他の方の作品でも完全オリジナルです。

鬼滅の他の方の有名作品の夢主ちゃんと呼吸が偶々一緒だったので一応言っておきました。

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(プロフ) - 凪さん» 読んで下さりありがとうございます!キメツ学園時空で結ばれることを祈りましょう…! (2020年2月3日 23時) (レス) id: 864d8b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
- ほんとに面白かったです、でも少しだけ悲しいなあってなりました。来世では結ばれて欲しいです (2020年2月3日 23時) (レス) id: b575dccd32 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - くまっ子さん» わーありがとうございます!!(*´ω`*)楽しんでいただけたなら嬉しいです! (2020年1月4日 23時) (レス) id: 864d8b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
くまっ子(プロフ) - 全部読みました!こういったお話は個人的に大好きなのでのめり込んでその日全て読んでしまいました!次の作品も楽しみにしてます(^^)お疲れ様でした(*´∇`*) (2020年1月4日 22時) (レス) id: 8aff784c04 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 澪桜さん» ありがとうございます!本誌の更新速度によって本編を進めていこうと思ってます(´∀`) (2019年11月13日 17時) (レス) id: 864d8b95f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年10月7日 18時

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