＊ ページ18
レティの走りは見事なもので、徐々に距離を詰めていった。しかしーー届かない。夫人の方はもうすぐで扉に手を伸ばせる距離だ。
「あっ！」
しかし、突如として床に段差が生まれた。いきなり現れた段差に一瞬戸惑いブレーキをかけようとしたが間に合わず、レティは派手に転んでしまった。フーゴはそれを見たので何とか間に合った。
「レティ！」
「いっ…た…っ」
しかも、段差だと思っていたものは只の「床に描かれた絵」で、要するにだまし絵と同じ効果をまんまと使われたのだ。
「もう追い付けない…！」
夫人は扉の扉を開けた。レティはこの世の終わりのような顔をしたがフーゴはふと立ち止まり、あることに気付いたので追いかけることをやめた。
「スティッキィ・フィンガーズ！！」
扉の向こう側には、ブチャラティとジョルノ、アバッキオが既に待機しており、そこを突破されたとしてもナランチャのエアロスミスが待ち構えていたのだった。
＊
「あーあ、最悪。」
「何故私を殺そうとしていたのだ、ビアンカ…」
どうやら夫人の名前はビアンカというらしく、依頼主はアッスンタというそうだ。
「だから言ったでしょう？遺産よ。い、さ、ん。もうあんな…路地裏で怯えて暮らすような生活は嫌だったのよ」
「何も殺さなくったって…」
フーゴがそう呟くと、ブチャラティが黙って首を振った。口を突っ込むな、ということだろう。
「……ビアンカさんさ、それ嘘でしょう？」
「…は？」
リボンを解いて出血をした所を結んでいたレティは澄まし顔で言った。
「本当は…私達の方を殺したかったんじゃないの？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：茜 | 作成日時：2019年4月28日 19時
