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夢主said


「……んあ?」


私はどうやら薬を飲んで少し眠っていたようで、目を開けるとーー「傷を負った夫人が倒れていた」。


「っ!?だっ、大丈夫ですか!?」


「…っ、ええ、大丈夫………」


「敵はどこですか!?」


「何故か…そこの……クローゼットの中に…」


夫人は喋るのもやっとな感じで、簡易的なクローゼットを指差した。


ーーあれ?こんな所にクローゼットなんてあったっけ?


そう思いつつもクローゼットを開けようとするとーー開かなかった。いや、正確には「クローゼットなどなかった」。


「え?」


手はクローゼットに当たる。だがーー"この感触は間違いなく壁だ"。


「ッ!壁にクローゼットの絵が描いてるの!?」


ジッと見ると、確かにそれは紛れもなくクローゼットの絵だった。恐ろしいほどリアルな。


「これはスタンド…?!」


夫人の方を確認しようと後ろを向くとーー



「御免あそばせ。でも、これが仕事だから」



夫人が私を壁に押し付け、首を締めてきた。


「ッ、あ……ッッ!!」


「あなた、スタンドが無いらしいわね?ただ見えるだけ、って。そんな子に手を挙げるのも自分ではどうかと思うのだけれど…」


出会った時からの落ち着いた表情は変わらず、私の首を絞める力だけが異常なまでに強かった。


「私、あの人の遺産狙いなの。だから殺させて頂戴な」


「ふ、ざけ…ッ」


「あら、黙って言うことを聞いてくれればその綺麗な体に傷一つ付けずに解放してあげるのに」


夫人はそう言い、微笑んだ。顔付きが整っているのは相変わらずだがーーそこには、先程までのような慈愛に満ちた表情はなかった。

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作者名: | 作成日時:2019年4月28日 19時

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