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「………もしかして、持ってきてくれた…？」
俺は5本のバラに目を通すと、その隣に手紙があった。バラと手紙を取り、窓を閉め俺は手紙に目を通した。
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さっきは遊んでくれてありがとう。楽しかった。
キヨがよかったら、今度行きたい場所があるんだ。キヨと一緒
に行けたらなって。農園で待ってる。
gch
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…………なんだこれ。ばかばかし。
そう頭では思っていても、俺は不意に笑みをこぼしていた。彼が誘ってくれるなんて。俺はるんるんになりながら扉をあける。同時にメイドも開けようとしていた様だ。
「………なに？」
メ「夕食のお時間です。」
「……あぁ」
俺はメイドを避け、席につく。黙々と食べていると、父が口を開く。
父「息子よ、婚約者は決めたか。」
「……………」
父「……まだのようじゃな。いい奴がいなかったのか。」
いい奴なんていない。そもそも、初対面なのにあそこの中から決めるなんて馬鹿なんじゃないか。俺は父を無視し、黙々と食べ続けた。
父「……いなかったようじゃな。よかろう、また大勢連れてこよう。考えときなさい。」
「…はい。」
俺はそそくさと部屋に戻り、手紙を見つめる。そういえば、と5本のバラを見つめる。彼は花言葉が好きだと言っていた。ならば、これにも意味があるのでは。
意味を調べると、"貴方と出会えた心からの喜び"。俺は微笑み、今日は早く寝ようとベッドに眠りについた。
「…ん」
カーテンから日差しがチラチラと当たり、俺は目覚めた。俺は目を擦りながら起き上がった。
メ「失礼します。支度が終わり次第、朝食ができてますので……」
「お腹空いてないから大丈夫。」
俺がそういうとメイドは困ったように微笑み、失礼しました。と扉を閉め去っていった。そのあと俺は服をシンプルにし、帽子を被り静かに窓から出ようと密かに城を出た。
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作者名：わたなべ | 作成日時：2024年1月29日 15時
