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気が付きかけた気持ちに浸る私を叱咤するかのように、突然スマホの着信メロディが鳴った。


『わっ!』


慌ててスマホを取り出して、画面を見てさらに驚く。表示された名前が赤羽くんだったから。話したいと願ったそばから、しかもあちらから連絡が来るなんて思ってもみなくて、興奮気味の声で電話に出る。


『あ、赤羽くん!』

「…っはー…よかった、着信拒否されるかと思った」

『え、着信拒否?』

「そうだよ、今日の態度見たら誰だってそう思うでしょ」


耳にダイレクトに響く電話越しの彼の声は、彼を近く感じて、変な感じがした。それより着信拒否って、まさかそんなことをすると思われるまで私がひどい態度だったとは。

改めて謝ろうと思ったら、先を越された。


「ごめん」

『へっ?』

「昨日の…Aがそんなに嫌だったとは思わなかったからさー、ごめん。なんかこうやって真面目に話すのも恥ずいけど、反省してる。だから明日からは避けるのやめてよ」


照れくさそうに、でも申し訳なさそうに、あまり聞いたことのない新鮮な赤羽くんの声が、なんだか少しだけ幼く聞こえた。いつも素直じゃない彼は、こういう時どう話していいかわからないんだと思う。…私もだけど。

そして、彼に謝る必要なんてないと伝えなきゃ。


『…違うよ。嫌だったんじゃなくて、恥ずかしかったの。だから赤羽くんは謝らなくていいの!私の方こそ今日は避けてごめんね。えへ、もういつもの宮本さんだから安心してよ!』

「そっか。そうだね、Aには潮らしいのよりガサツなほうが似合ってるよ」

『なっ!ちょっと、それ褒めてるの?』

「褒めてるよ」


意地悪を言うのはわざとなんだろうな、と思った。いつものように話すための、彼なりの気遣い。やっぱり優しいな、赤羽くんは。

彼と話すのはまだ少し緊張するけれど、仲直り、いや、喧嘩した訳でもないのに仲直りって言うのは違うか。じゃあ仲直りもどき?出来て良かった。


「…あれ、A今どこにいんの?なんか電話から同じ駅のアナウンス聞こえるんだけど」

『あー!そう。実はね、赤羽くんに謝ろうと思って、君の降りる駅にいるの』

「はぁ?何してんの?……って、あー、ほんとだ見つけた」

『痛っ!』


見つけたって言葉を理解する前に、頭に痛いとまでは言えない衝撃を受けて振り返ると、私にチョップをした犯人は言わずもがな彼だと分かった。


『赤羽くん…』


したり顔で、私を見下ろす彼がいた。

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鏡 雨 。.(プロフ) - アリス(あふらん)さん» ありがとうございます!読んでいただけて本当に嬉しいです! (2019年1月2日 12時) (レス) id: 0e4fba863a (このIDを非表示/違反報告)
アリス(あふらん)(プロフ) - 完結おめでとうございます!話の雰囲気がとても好みでした。素敵な作品に出会えて本当に良かったです!!ありがとうございます。 (2019年1月2日 11時) (レス) id: d39cf90419 (このIDを非表示/違反報告)
鏡 雨 。.(プロフ) - みあさん» ありがとうございます! (2018年8月6日 19時) (レス) id: e99495890a (このIDを非表示/違反報告)
みあ - 面白いです!頑張って下さい!! (2018年8月5日 21時) (レス) id: af930b47ff (このIDを非表示/違反報告)
鏡 雨 。.(プロフ) - 夢留さん» ありがとうございます!忙しく、更新のペースは落ちていますが、できるだけ早くお届けできるよう頑張ります! (2018年5月12日 15時) (レス) id: ce6f0d2a94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鏡 雨 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年4月11日 16時

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