＿＿、 ページ21
思えば彼女からヒントは幾つも与えられていた。さっきだって、進路とか恋人の話題とか、全部彼女の勇気から来たものだ。その全てを冗談だと受け取るなんて馬鹿にもほどがある。
本体はどこかで彼女の気持ちにも気づいてたはずなのに。彼女の気持ちに期待して、自分だけが本気になるのが怖かったんだ。
「A、あの...」
答えなきゃ。俺の殻をぶち壊した、全身全霊の彼女の勇気に。
気づいてた、同じ気持ちだ、伝えたいのに様になる言葉が見つからない。どう言えばいい？
彼女の表情にだんだんと不安が広がる。
焦って探せば探すほど俺の中の語彙は失われていく。
沈黙に耐えかねて彼女が繕う。
『.....や、やだなー！そんな困った顔しないでよ！ごめん、変な事言ったかも！忘れていいよ。むしろ忘れて！今更何言い出すんだってね！ほんとに恥ずかしいなあもう！これはその...嘘！そう、ちょっと言い過ぎたかもしれな』
「好きだよ」
ぐるぐると回る思考回路が爆発して、彼女の早口の弁解を遮るように口に出ていた。
『.....へっ？』
「好きだよ。好きに決まってるじゃん」
柄にもないセリフに驚いた。彼女もだけど、俺自身が。
まさか自分が、咄嗟にこんなこと言うなんて考えても見なかったから。慣れてなすぎて必死で、あーくそ、全然カッコついてない。
「.....好き、だから、Aも嘘とか言うの禁止」
でも、格好とかもうどうだっていい。呆気に取られてる彼女の潤んだ瞳を見たら、泥臭くたっていいと思った。
「まさか泣いてる？」
『泣いてない』
「ほんと？」
『ほんと！...赤羽くんこそ、今のほんと？』
「...まあ」
『まあって何さ！今から嘘とか言ったら絶交だから』
「絶交って小学生じゃないんだから。...いいから俺の彼女になってよ」
『.....このカッコつけめ』
小さく頷いた彼女は、本当に泣いてるように見えた。
「...待たせてごめん」
『許さない』
「うん」
『冗談。私もだいぶ逃げてたからお互い様だよ』
今度は笑う彼女。やっぱ表情が忙しい。
『ね、クレープ食べに行こ』
「今から？遅くなるよ」
『だーいじょーぶ！君も私も、遠回りは得意でしょ？』
「...やっぱり怒ってるじゃん」
『怒ってないってば！普通に！』
確かに遠回りだったねー。
お互いひねくれてるせいで。
「でも遠回りも楽しかったよ」
『珍しい、君が素直』
「あー、うっさい」
『ふふふ、赤羽くん』
「何？」
" 私も大好き！！"
、
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鏡 雨 ｡.(プロフ) - アリス(あふらん)さん» ありがとうございます！読んでいただけて本当に嬉しいです！ (2019年1月2日 12時) (
レス) id: 0e4fba863a (このIDを非表示/違反報告)
アリス(あふらん)(プロフ) - 完結おめでとうございます！話の雰囲気がとても好みでした。素敵な作品に出会えて本当に良かったです!!ありがとうございます。 (2019年1月2日 11時) (レス) id: d39cf90419 (このIDを非表示/違反報告)
鏡 雨 ｡.(プロフ) - みあさん» ありがとうございます！ (2018年8月6日 19時) (レス) id: e99495890a (このIDを非表示/違反報告)
みあ - 面白いです！頑張って下さい！！ (2018年8月5日 21時) (レス) id: af930b47ff (このIDを非表示/違反報告)
鏡 雨 ｡.(プロフ) - 夢留さん» ありがとうございます！忙しく、更新のペースは落ちていますが、できるだけ早くお届けできるよう頑張ります！ (2018年5月12日 15時) (レス) id: ce6f0d2a94 (このIDを非表示/違反報告)
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