【ハイキュー!!】声を失った少女は猫の獲物【音駒高校】

回想 2 ページ39

貴方side




急に家に入ってきた男の手によりガムテープで縛られる。





怖くて、怖くて涙が出てくる。



「誰かっ…！ 助け、てっ！」





嗚咽混じりに叫ぶ。






その時だった。





ブンッッ






という、空気を斬る音がした。



太ももに異変を感じ目をやる。









そこには肌の色は全く見えずに 赤い液体で染まっていた。









「次喋ったら、今度はコロすからな。」









身体的な痛みも感じていたがそれを上回る精神的痛みに声を出す事が出来なくなった。









ただ、ずっと男が立ち去るのを待った。









✄--------------- ｷ ﾘ ﾄ ﾘ ---------------✄




男が立ち去ったのはそれから30分後だった。




私は、手足を縛られているため床を這いつくばって外に出た。






すると、偶然にもお隣のおばさんが散歩をしていて、私を見るなり顔を青ざめ救急車と警察に通報してくれた。









お父さんとお母さんも直ぐに戻って来てくれた。





安心したのに、もう安全なのに。



辛く、痛い思いは消えなくて、


失った声は戻って来なかった、









声かけも出来ないため、皆の足を引っ張るのは嫌だから大好きな排球も辞めた。





皆は私に 「居てほしい」 と言ってくれたけど、あの時は喜べなかった。









そして、高校生になってこっちへ戻ってきた。






病院の先生が幼い頃の楽しいひと時を思い出せば声を取り戻せるかも、と言ったのがきっかけだった。









もちろん、あんな事件もあったから親もなかなか承諾してくれなくて、微妙な時期に転校したのだ。









昔、過ごした家、仲間。



そのおかげで少しは痛みも和らいだ。



けれど、大きな男の人は怖くて、
黒尾先輩にもあんな態度をとってしまったのだ。

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