60時間目 ページ15
時計を見るふりをして顔を上げて、まず目に入ったのは
頭を抱える前原と、青い顔をする倉橋さん。
気づけば、さっきまで勢いよく鳴り続けてたシャーペンのカタカタが全く聞こえなくなってて
代わりに誰かの重いため息が聞こえた。
そりゃみんな出来ないでしょ。
だって習ってないんだもん当然だよ。
どう考えてもここは範囲じゃなかったんだから。
もしかして殺せんせーは、こうなることを分かった上で、俺にアホほど予習をさせたのか？
いやだとしたら何で俺だけだよそれはねぇか。
疑問を抱きながらもう一度、チラリと試験監に目をやると
相変わらずコツコツと机を鳴らしててうぜぇのには変わりないんだけど
口角が上がっているように見えたのは
きっと気のせいなんかじゃない。
・・・
神サイド
「…………」
テストが終わって数日後。
五教科全てのテストが返却された。
今までのテストなんて比べ物にならないような
殺せんせーの爆速による常識外れの勉強法。
それに最初は戸惑うことだってあったが
今回のテストで飛躍的にＥ組の点数が上がったことは言うまでもない。
実際、まるで自分じゃないかのようにスラスラと解けた。
手応えだって、まああった。
……はずなのに。
渚は悲しそうに眉を下げて、納得のいかない顔。
シュンと背中を丸めて自分の解答用紙を見つめていた。
渚の結果は五教科合計315点。
勉強したのに結果に出ない、その悔しさに捕らわれていた。
そんな浮かない顔をしているのは渚だけではなく
みんな同じ。
「次頑張れば」なんて悠長なことを抜かせるほど
適当にテストを受けた者なんて一人もいなかった。
今回は全員50位以内に入ることを目標にしていたし
それぞれ、「いけんじゃない」って気持ちにもなっていた。
その分、余計に……。
「どう考えても普通じゃない。テスト二日前に範囲を大幅に変えるなんて」
教室を重い空気が包む中、烏間先生の抗議の電話の声だけが響く。
その後も烏間先生は電話越しに粘っていたようだったが
遂に、諦めたように目を閉じて通話を終了させた。
唯一響いていた声が途絶えると
教室はとうとう本格的な静寂に襲われた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 901人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫とやぎ(プロフ) - 初コメ失礼します！最高に性癖に刺さる神作品をありがとうございます泣泣ほんと大好きです、、またいつか戻ってきてくれることを願っています！！ (2022年6月26日 3時) (
レス) @page27 id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
千尋 - この作品は世の腐女子が叫ぶ作品ですねw更新頑張ってください！ (2021年12月14日 14時) (レス) @page27 id: 25c03afb5d (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 勉強大変かと思いますが、お体に気を付けて作者様のペースで頑張ってください！この作品大好きです！！更新待ってます！ (2021年10月31日 19時) (レス) @page27 id: 663ca84b4d (このIDを非表示/違反報告)
Lapislazuli. Charlot.(プロフ) - 復帰待ってます！面白かったです！ (2021年10月17日 8時) (レス) @page26 id: b8ccefd154 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーむくーへん - 復活待ってます！すごく面白かったです！ (2021年4月11日 16時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なくら | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Anika1/
作成日時：2016年4月22日 21時
