あなたに命を吹き込んで 【TH】

謎は深まる ページ6

「はっ！！！」





8:00だ。大学だ。




目をカッと開けて起き上がると、寝落ちした格好のままだった。




お腹もすかすか、肌はがさがさ。腰はびきびき。





「最悪だよ……」





少し痛む腰を擦りながら立ち上がると、





「んぎゃっあ！！」





目の前にでっかいあいつが居てめっちゃびびった。




忘れてたというか、いや、心臓飛び出たから！！





「そういや変な夢見たな……」





徹夜したせいだ。うん。





「もう〜君のせいだからね！？私大学行くけど、変なことしないでよ！？家に置いててあげるから！」





駄目だ、今私馬鹿っぽい。頭働いてない。
寝起きだからしょうがないけど、話しかけたって返ってくる訳無いじゃん。




はぁ、と肩を落としてとりあえず洗面所に向かおうとすると、ガシャ、という音と共に何かに躓いた。





「んもうっ今度はなに、…………あれ？」





拍子に倒れたそれはどこか見覚えのある袋に入っていて、思わず持ち上げた。




袋の中には２本のビンが入ってて、ラベルには英語で



『clear liquid』『vivid liquid』



と書いてある。




そしてそれぞれには透き通るような綺麗な透明の液体と、目が覚めるような明るいピンクの液体が入っていた。




そこでふと、何かが頭の中で引っ掛かった。





「クリアリキッドとビビッドリキッドって…………まさか、」





私は少し散らかった部屋から急いで昨日のあの説明書を見つけ出して、紙を広げた。




そこにも、ちゃんとその文字が書かれてある。





「でもマジックショップで購入って…………んんん？」





やー、ちょっと待って。




そんなのある訳無いじゃん。




…………夢の中で買った物が起きたら部屋にあるとか、そんな訳…。




しばらく唖然としていると、スマホが急に鳴り出した。





「……はいもしもし……はっ！ジミナ！ごめん今行く！」





そういえば今日はジミナと一緒に行くんだった。すっかり忘れてた。




慌てて準備をして、ご飯も食べずメイクもままならないままカバンやら何やらをかっさらう。




リビングを出る前に物体が目に入った。




……確かテヒョンって言ったっけ。




彼は未だに目を閉じて直立不動だ。




あぁ、気になる気になる気になるでも行かなきゃ。




私はやや、否、かなり後ろ髪引かれながら靴を履き、ドアを開けた。




……今日は絶対早く帰ろう。

親友のジミン→←夢かうつつか

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す