あなたに命を吹き込んで 【TH】

白い人型と怪しい私 ページ3

開いた口が塞がらないとはまさにこのことである。




現に私は今、目の前にいきなり出てきた人…………




いや、厳密に言えば人ではないだろう。




だってなんか白い。




なんというか、真っ白い、人型？の像のような物体を見て、まぁとにかく私はあんぐりしているのだ。





「What is this？」





…………え、本当になにこれ。




背は高くて、顔は多分男性なんだろうけど彫刻のように整ってて、でも目は閉じてる。




誰かの作品だろうか。いや、でもなんでここに？
そもそもどうやって出てきた？




元より動くより考える派の私はこの物体を見つめながらいろんな疑問を浮かばせていた訳だが





「……これ放置して良い系？」





何の答えも出なかった。




とりあえず写真撮っとく？あ、ジミナに電話する？




ジミナとは大学の同級生で、元カレで……今は親友。




ジミナが優しいからこの関係につい甘えちゃってるんだけどね。




ジミナジミナ…………とスマホをカバンから探していると、




カチャカチャ、



隣の家の中から鍵が開く音がした。





「ひぃっ！どうしよっ」





待って待って。今来たら私完全に怪しい人って思われる。




夜中になんかでっかい白い物体(イケメンの人型)を家の前に置いてる女。




……それはかなり、ヤバい。




頭が真っ白になって、とにかく証拠隠滅、とコレを担いで家の中に押し込んでしまった。



ガチャ、


隣の人が出て来たと同時に扉を急いで閉める。





「あ、Aさんこんばんは」


「あ、あはは、こんばんはジョングク君」





ペコっとしてそのまま階段の方へ向かっていった彼を見送ってから、重たいため息をつく。




なんかよく分からない汗をかいたんだけど。





「とりあえずただいま……って、あっ！
やば！」





家に入るとさっき自分が押し込んだ物体が思いの外雑に転がってて焦る。




え、壊れてたりしませんよね。なんかごめんなさい。
とそれが人型であるせいか、なんだか申し訳ない気持ちになった。




近寄って隅々を確認したら特に傷はなかったけど……





「なんでこんなことに……」





ジョングク君からの私のイメージダウンはなんとか免れたけど、とっさに持ち込んでしまったコレは一体どうしろというのだ。

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