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こんなに悩んでるってお父さんが知ったら、何ていうかな。
「...おい」
「っ」
私は気を取り直して火を消す。
「大丈夫か」
「え?何がですか?」
そう言って自分をごまかしてるのはわかってる。
「...こっちは準備できた」
そう言ってキッチンを出た藍沢先生に私は湯気が立っている味噌汁をお椀に入れて運ぶ。
「いただきます」
静かにそういえば藍沢先生も手を合わせて食べ始めた。
あ、この胡麻和えうまくいったかも。
藍沢先生が幼い頃から祖母に育てられていたという話は昔に聞いたことがあった。
その影響かわからないけど、洋物よりも和食の方が好んで食べてる気がする。
「食欲ないのか?」
たまにこうして気を使ってくれる彼の優しさを最近感じる。
「そんなことないですよ?」
でも私は素直になれず、そう答えた。
「朝と昼、何も口にしてないはずだが」
あれ、なんでバレてんの?
「自分の家に何があるかくらい大体把握してる」
...えぇ...
「ただでさえ入院生活で10キロ以上体重が減ってる。しっかり食べろ」
「...」
「栄養失調で倒れるぞ」
ごもっともです。
もえそろそろ大学も行き始めるし、食べなきゃってのは分かってるんだけど。
「...お腹すかないんです」
そう言って自分のお茶碗にあるちょっとのご飯を見つめる。
「胃に優しいものから少しずつ食べ始めればいい。別に俺に合わせなくてもいいんだ」
その言葉に私は持っていた箸をおく。
「...はい」
私は再び箸を持って白米を口に運んだ。
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なの(プロフ) - 紺碧さん» いつも楽しく見させてもらってます!!あの、新しい夢小説のリクエストってしても大丈夫ですか、? (2022年2月2日 14時) (レス) id: 6d95e2742f (このIDを非表示/違反報告)
レー - 聞いていいですか? (2021年3月13日 13時) (レス) id: e2fca41a38 (このIDを非表示/違反報告)
あかりん - 続き楽しみにしています! (2020年6月25日 18時) (レス) id: 5037ca489f (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - 更新楽しみにしてます(´∀` これからのストーリ楽しみにしてます!! (2018年7月24日 4時) (レス) id: 96ffb2a076 (このIDを非表示/違反報告)
み - 更新楽しみにしています!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2018年3月10日 12時) (レス) id: 1f5bab3162 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mono | 作成日時:2017年8月28日 23時