勿忘草 ４[コード・ブルー 劇場版]

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ナースステーションで緋山先生と仕事の続きをしている。

流れる空気は何も変わらないけれども、お互い考えていることは一緒だと思う。

「...あんたのお母さんは」
「...もって半年です。まぁ、よく生きたほうですけどね」
「そっか」

それだけ、たったそれだけの会話だったけれども、緋山先生の視線が冴島さんの方へと向いているのに気がついた。

そう言えば、冴島さんの元カレさん。亡くなった時、シニアたちが付き添ってたのか、とそれを知っているのか、と任すのは私ではなく彼女なのかもしれないなぁと、私は、富澤さんのカルテを閉じた。


暫くすると、ICUから叫び声がした。

...今度は一体...

どうやら雪村沙代さんだったらしく、横峯先生とナースが必死に暴れているのを抑えている。

すぐに入っていく耕くんが見えたので、私は中には入らずそのすぐそこにいた雪村さんへと視線を移した。

全員係で抑制帯を巻いている。逃げ出すようにこちらへと向かってきた雪村さんにPCへと顔を背けた時、「双葉ぁ！！！」と怒鳴り声が聞こえた。


「フライトナースっていうんだって？？？かっこいいねえ！！家出て正解よ！！双葉ちゃん！！」

あまりの大きな声にこちらまで聞こえてきた。

「でも覚えておいて。親は一生親なの。どっちかが死ぬまで、あんたと私は絶対に切れないんだからね！！」

涙を浮かべた雪村さんが走って出ていくのを見ながら、その後を追おうと立ち上がろうとしたが、言ってどうする、どんな声をかける、私は彼女とは境遇が違う。


...私は彼女にかける言葉があるほど、上手い人間じゃない。

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