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「ご迷惑をお掛けしてすいません。1番人手が必要な時に勝手なことして、理解してくれて感謝してます」
前に立っていた三井先生は「ありがとうございます」と締めくくり静かに席へとと戻った。シニアドクターの話していた噂は本当らしく、息子さんが病気のために辞めると言うことだった。そう言われてしまえば引き止めることはできない。
確か三井先生は、橘先生とご結婚されていたよな、とチラリと橘先生を見るがその表情からは何も感じ取れなかった。それと同時に更に人員不足が進み救命は忙しくなるな、と肩を落とす。
「...さてとこの話は終わりだ、カンファレンスを始めよう!とその前にもう一つ話がある」
橘先生の言葉に今度はなんだと全員から不安な空気が出ていたのか「いや安心しろ、いい話だ」と先生は笑い飛ばした。
「フェロー達に新しく加わる指導員を紹介したい」
橘先生の言葉と共に会議室の扉が開き、中に入ってきた人物へと私は微かに口角が上がった。
「なんだよ、また俺と張り合う気かよ」
そこに立っていたのは藍沢先生だった。藤川先生の言葉に誰も反応しなかったが、シニアドクターの面々は嬉しそうな表情をして彼を見上げていた。
一方、私以外の新人フェロー達は顔は見たことある程度なので首を傾げている。しかしこの人が指導員になるのか、と思うと私は先が思いやられるなと別の意味で肩を落とした。
「脳外科から来た、藍沢先生だ」
橘先生の紹介に、藍沢先生はそのまま静かに着席をした。
***
「耕作!!」
「こうさく!!」
スタッフステーションに戻るとナースの方々に面倒を見てもらっていた子供二人がいたのだが、藍沢先生を見るなり下の名前で彼に駆け寄った。
『...あんたら、私の名前よりも先生の名前を呼ぶってどういうことよ』
私が溜息をつきながら注意をしようと足を踏み出すと、横から次々と怖い言葉が飛び出した。
「ま、まさか赤本さんと藍沢先生...」
「え、赤本先生の子供?」
『違いますッ』
私が急いで弁解をしている間にも二人は「こうさく!!」と彼の足元で手を掴んでいる。変な噂が立つのだけは勘弁であるが二人は彼に懐いているし、と私は頭を小さく抱えた。
『耕作じゃなくて、藍沢先生でしょーが』
それでも嬉しそうに「耕作!」と呼ぶ声に、藍沢先生は真顔のまま二人の頭をぽんっと撫でるとそのまま廊下を進んでいってしまった。
そう言うことするから懐かれるんですよ、藍沢先生...
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笹原美桜(プロフ) - ネボーンじゃなくてREBOAじゃないですか?ドラマ沿いだと (2021年9月15日 22時) (レス) id: 9ad5622aaa (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - こんにちは、いつも楽しく読まさていただいています。誤字を発見したので、ご報告です。支持→指示だと思います。ご確認ください。 (2018年7月30日 7時) (レス) id: 4d27a7bcab (このIDを非表示/違反報告)
Ray(プロフ) - あおいろさん» 分かりました (2017年8月20日 15時) (レス) id: 3f08d45607 (このIDを非表示/違反報告)
あおいろ(プロフ) - チナキンさん» ありがとうございます!!「」の前に名前を入れればいいのですが、入れていないのでものですみません。説明文で分かりやすいようにかけるようもっと頑張っていきたいと思います! (2017年8月20日 15時) (レス) id: 5cec4d6e77 (このIDを非表示/違反報告)
あおいろ(プロフ) - Rayさん» コメントありがとうございます。残念ながらただいま忙しい状況で、新しい小説を書く事は難しいと思われます。ですが、男主で案もいいと思いますのでかける環境になれば検討して行こうと思います。申し訳ございません。 (2017年8月20日 15時) (レス) id: 5cec4d6e77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mono | 作成日時:2017年7月27日 0時