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1粒、また1粒。Aの目からは涙が零れ落ちた。何故だか俺にはそれがとても綺麗に思えた。
他人のことではなく自分のことを思って流してくれる涙がこんなにも綺麗だなんて思わなかった。
『やだ、離れたくない、』
「俺だって...」
『だったら、どこにもいかないで』
「でも、このままじゃ誰も幸せになれない。
俺の気持ちもわかってよ」
『...ごめんなさい』
Aはハッとしたような顔をしてから、小さくそう言った。
くっ付いていたAの身体を離すとAは泣きながら、さっきよりも強く抱きついてきた。
今は今だけは、そんな思いが胸に広がりAのことを突き放せなかった。
「A、愛してる」
こんなに誰かのことを愛おしいと話したくないと思ったのは初めてだった。
真っ赤に泣き腫らした目さえも愛おしかった。
どこが好きと言われてすぐに答えることは出来ないが、全部が好きだと胸を張って言えるだろう、
暖房のきいた室内には二人の吐息だけが響いていた。
いつまでもこうしていたい。
Aのことを離したくない。
俺の元を離れられないように壊れるくらいに愛したいというのに。
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葵(プロフ) - たかあやさん» そう言っていただけると嬉しいです(;_;)更新暫く滞っていて申し訳ないですが、ご期待に添える事が出来るように頑張ります・・・! (2018年6月30日 19時) (レス) id: ea5accdc2b (このIDを非表示/違反報告)
たかあや(プロフ) - この感じの岩ちゃん臣は初めてですごいハマってます(*^^*)いいなぁ。こんな風に挟まれたい(笑)全くこの先の展開が読めない!!それがいい!!更新楽しみにしています!! (2018年6月30日 16時) (レス) id: 9513f20f64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作成日時:2018年3月16日 13時