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Aside
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『私、最低だよ。臣の気持ち分かってるのに。...私は、、』
「いいんだよ。俺がいいつってんだから。
お願いだから、もう何も言うな。聞きたくない」
『っでも』
「お願いだから...。俺、Aがいないとだめなんだ」
臣の弱々しい声はやがて尻すぼみになり、小さく消えていった。
彼のこんな顔、初めて見た。
私がこんな顔させてる事。
それが私に重くのしかかる。
私の手を握る臣の手はひんやりと冷たかった。
それから、二人で海辺を歩いた。
臣に後ろから抱き締めれると、肌寒さもすぐにどこかに消えていった。
背中に温もりを感じながら、沈んでいく夕日を無言で眺めた。
きっとこの景色をこれから先忘れることはないだろうと、そう思った。
「A、こっち向いて」
『...ん』
臣に促され、臣の方を振り返る。
さっきの悲しそうな顔とはうってかわり楽しそうな笑顔でご丁寧につけられたジャーンという効果音。
臣の手には細長いピンクのリボンがついた箱。
「誕生日おめでとう。
...開けてみて」
『...うん。...すごく、かわいい。
臣、ありがとう』
「良かった」
箱を開けると、そこには三日月のペンダントトップの付いたゴールドのネックレス。
俺もお揃いで買った。そう言いながら臣はジャケットを脱ぎTシャツの上から光るネックレスを見せ言った。
徐にジャケットを私に羽織らせると帰ろっか。臣はそう言い再び手を握って、旅館への道を無言で歩いた。
一歩前を歩く臣の鍛えられ程よく筋肉のついた綺麗な腕を見つめながら、思うことはこれからどうしようそればっかり。
私はきっとこの手を離すことが出来ない。
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葵(プロフ) - たかあやさん» そう言っていただけると嬉しいです(;_;)更新暫く滞っていて申し訳ないですが、ご期待に添える事が出来るように頑張ります・・・! (2018年6月30日 19時) (レス) id: ea5accdc2b (このIDを非表示/違反報告)
たかあや(プロフ) - この感じの岩ちゃん臣は初めてですごいハマってます(*^^*)いいなぁ。こんな風に挟まれたい(笑)全くこの先の展開が読めない!!それがいい!!更新楽しみにしています!! (2018年6月30日 16時) (レス) id: 9513f20f64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作成日時:2018年3月16日 13時