ストロベリーフィールド

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季節は春。


出社して早々、女性社員達の様子がなんとなくいつもと違うことに気づく。
隣のデスクに座る同期のユナもそのうちの1人だ。


『ユナ...なんか今日みんな化粧バッチリじゃない？』
「A知らないの？今日から入るの！イケメン社員！」
『へぇ〜。』


今日からうちの会社に新卒採用の男性社員が数名入るらしい。
私がいる部署は総務で、その人は営業部なんだとか。
フロアが違って接点はほとんど無いはずなのに"どこで遭遇するかわからないから"といつもよりも気合を入れているユナ。


「Aはイケメン興味ないわけ？」
『ないかな〜。年下はちょっと。』


年下と付き合ってた人がよく言うわ！って自分に突っ込む。
興味ないんじゃなくて、過去の恋愛から年下の男性がちょっぴり苦手なだけだ。






定期的に大ホールで行う全社員での朝礼。
会社の中で最も広いホールとはいえ数百人が集まれば身動きがとれない。



蒸し暑くなってきたし朝から堅苦しい話なんて聞く気になれず、早く終わらないかなーなんて考えていると始まった新入社員の紹介。


「今日からこちらで働くことになりました。カンダニエルです。よろしくお願いします。｣


と人一倍大きな声がホールに響いた。それと同時にざわざわし出す室内。
あいにく私とユナはだいぶ後ろにいるせいで全く顔が見えなかったけど、その名前と声を聞いた瞬間鼓動がトクンと跳ね上がった。



カンダニエル...まさかね。
そんなことあるわけない。





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