22 ページ23
数時間前
Aが昏睡してから3日目
不穏な空気を煽るように無防備に開いた窓が
風でガタガタと音をたてる
「悪かった。礼儀の無い入り方をしてしまって」
そう男は口先だけで謝る
黒いコートに身を包み
きれいなエンジ色の髪から覗く黄色い目を
右目の涙袋が強調している
「君はここの部屋の者か？」
男は部屋の隅々に目線を配りながら独り言のように聞く
「そうだが。だったら何だという」
セベクは男を睨み威嚇する
男はセベクの顔をしばらく見たあと
「どうも気持ち悪い巡り合わせだな」
と幽霊の噂話でも聞いたように気味悪がると
「彼女を引き取りに来たんだが…
その前に学園長と寮長に挨拶させていただきたい
疲れているところ申し訳ないが会わせてもらえないだろうか」
何故か少し気まずそうに言った
「ふん。貴様のような無礼者が若様のお顔を拝借するなど千年早い」
すると男は少し黙ったあとに
「…そうか、それならそれで良い…」
と入ってきたばかりにも関わらず
潔く身を引こうとする
「俺の不手際でお前達にも迷惑を掛けたことを詫びる。
その上で申し訳ないが後始末も頼んだ…」
Aを抱きかかえて
「どう証言しようと自由だ
不審者がAを連れ去ったとでも言っておいてくれ」
しかし簡単には帰らせない
「ほう、Aの名前を知っておるか
なら尚更逃がすわけにはいかんのぅ」
急な頭上からの声に男は反射的に振り向く
そこには可愛らしい満面の笑みが逆さ吊りになっていた
さっきまで無かった気配に油断していたのか
男は声も出せずに硬直する
「リリア様！」
「セベク、駄目ではないかこんな小悪党一匹に
我らが眠り姫を連れ去られてしまうなんてことがあれば
マレウスに何とどやされるか…」
リリアはわざとらしく困った表情でため息をつく
「ぐっ、申し訳ありません…」
「ここはわし一人で充分じゃ
セベクや、クロウリーとマレウスを探しに行ってくれんか？」
リリアがそう言うとセベクは二つ返事で部屋を出る
「さて、話を戻すとしよう…
Aを何処に連れて行く気だったんじゃ？」
表向きの笑顔を浮かべるリリアに男は
「いえ、穏便に済ませられるならそちらの方が好都合なので
御二方が来てから話しましょう
俺はアデル・ロートと申します
…あの、覚えていませんか？」
アデルと名乗る男の顔をしばらく覗き込むが
「はて？」
どうやらリリアに心当たりは無いらしい
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
甘酒(プロフ) - 無羽さん» うわわ…ありがとうございます、仕事が忙しくて更新停止になってました… (2021年12月31日 19時) (
レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)
無羽 - はじめまして。更新ありがとうございます！何時も楽しく読んでます！これからも頑張ってください。 (2021年12月31日 18時) (レス) @page21 id: f4cfea9c5e (このIDを非表示/違反報告)
甘酒(プロフ) - ジャッキーさん» ありがとうございます更新遅すぎてすみません、、 (2021年9月2日 3時) (レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)
ジャッキー(プロフ) - 続きが楽しみで仕方ありません…！更新頑張ってください！！！！ (2021年8月1日 17時) (レス) id: 2f5b4ed08a (このIDを非表示/違反報告)
甘酒(プロフ) - 刀剣乱舞LOVEさん» ありがとうございます…！最近ダラダラ更新すぎて、まさか楽しみにしていただいている方がいると思ってませんでした笑凄い励みになりますありがとうございます！ (2021年6月7日 22時) (レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甘酒 | 作者ホームページ：nhatev-hdfs sake1
作成日時：2021年3月12日 17時
