11 ページ12
放り出された掃除道具が乾いた音を出して転がる
『ちょっと、道具は大事に扱って…』
Aは拾いながらユウヘに言葉を投げるが
虚しくもユウヘの耳には届いていなかった
Aは何気無く壁外を覗くとそこには
壁に手をかけている巨人が数体こちらを見ていた
『っ…』
気味の悪い顔と目が合ってしまい思わず目線を逸らす
確かに彼の言うとおり
従来の巨人は最高でも精々15m程度
今まで通りであれば巨人がこの壁を越えることはない
したがって大砲などあるだけで金の無駄である
この現状が永遠に続くのであれば…であるが。
「終わりー！お昼にしよ！実はサンドイッチ
持ってきてるんだ！」
ミリナはそう言うとバスケットを取り出した
中にはぎっしりと具が入ったサンドイッチが
敷き詰められている
『凄く美味しそう…私点検表出しに行ってくるから
帰ってきたら貰っていい?』
「もちろん！」
ミリナは笑顔で承諾する
Aは今にも腹が鳴りそうなのを堪えて
点検表と道具を持ってリフトのある方へ足を運ぶ
壁から降りると賑やかな声が耳を刺激する
市内を駆け回る子供たち
世間話に忙しい主婦
昼間から酔っては博打に興じる男達
シガンシナ区の賑やかで平穏な日常は
たった1枚の壁で護られている
キィイイイイーーーーーーン
『ぇ』
一瞬耳鳴りの様な音が響く
その直後雷よりも眩しい光と音が周囲を包む
油断していた身体は衝撃でバランスを崩す
『地震、？』
状況を理解しないまま周囲は静かになる
その中で人々は壁上を指差し見上げ始める
Aもつられて壁を見上げる
『！？』
そこには50mの壁からシガンシナ区を覗く
巨人の顔
あまりの事に呆然としてしまうが
Aのその顔は段々と青ざめる
丁度巨人が顔を出しているところは
先程まで点検をしていた大砲があるところだった
『ゼル…！』
Aは気が動転し立体機動装置で上まで駆け上がる
壁上に再び足をつけたと同時に
また凄まじい音が響く
音のした方を見ると壁に先程までなかった穴と
壊された壁の破片が散らばっている
破片は建物や住民を押しつぶしている
一変した景色に理解が追いつかないまま動悸がする
そんな壁上で謎の巨人に向かってアンカーを刺す
ゼルの姿が映る
『待ってッ！！！！！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
甘酒(プロフ) - 無羽さん» うわわ…ありがとうございます、仕事が忙しくて更新停止になってました… (2021年12月31日 19時) (
レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)
無羽 - はじめまして。更新ありがとうございます！何時も楽しく読んでます！これからも頑張ってください。 (2021年12月31日 18時) (レス) @page21 id: f4cfea9c5e (このIDを非表示/違反報告)
甘酒(プロフ) - ジャッキーさん» ありがとうございます更新遅すぎてすみません、、 (2021年9月2日 3時) (レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)
ジャッキー(プロフ) - 続きが楽しみで仕方ありません…！更新頑張ってください！！！！ (2021年8月1日 17時) (レス) id: 2f5b4ed08a (このIDを非表示/違反報告)
甘酒(プロフ) - 刀剣乱舞LOVEさん» ありがとうございます…！最近ダラダラ更新すぎて、まさか楽しみにしていただいている方がいると思ってませんでした笑凄い励みになりますありがとうございます！ (2021年6月7日 22時) (レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甘酒 | 作者ホームページ：nhatev-hdfs sake1
作成日時：2021年3月12日 17時
