10 ページ11
『私はこのクッキーを食べるために生きてるってこと？』
「毎日美味いものを美味しく食ってたら良いんだよ
そっちのほうが楽しいだろ」
そう言ってゼルは最後の1枚をAに譲る
『…一理あるかも』
Aは貰ったクッキーを噛みしめながら呟く
口の中に広がる素朴な味は不思議な程に美味しかった
その日を境にAは味気無さそうに食べていた料理を
美味しいと言うようになった
「中でも最も訓練成績が良かった
上位10名の者を発表する！呼ばれたものは前へ
…」
少しずつ色付いた日々を送り出せた訓練兵時代は
２位という形で幕を閉じた
首席を勝ち取ったゼルは
「立体機動の評価対象が格闘術より上で助かった」
と笑っている
いつも一緒に自主訓練をしていた2人の成績は
ほぼ互角だったが立体機動術の成績はゼルの方が
僅かに上であった
翌日からは訓練兵を卒業し
所属兵科を決める前の数日間
壁の補強に努める駐屯兵団の下で
兵職につくことになっていた
「先輩方は新兵の俺達に経験させたいことが
今日から山程あるようだ
親切な事に自分達の仕事まで投げ売ってくださった」
『聞こえるよ』
ウォールマリアの壁上を歩きながら
悪態をつくゼルにAは軽く注意を促す
「でもこんなの酷いよ…1日かかって終わるかどうか…」
「あぁ…御本人様達は既に顔を赤くしてたしな」
同じ班の少女ミリナと青年ユウヘも
ゼルに同意する様に文句をこぼす
「少しサボったところでわかんな…
おい見ろ！調査兵団だ」
不満気な顔をしていたゼルは
顔色を一変に輝かせると壁内を指差す
指の先には丁度壁外調査から帰還した調査兵団が
シガンシナ区を通っている途中だった
『調査兵団が見れてよかったね
見惚れてないで早く仕事終わらせないと』
Aは適当に流し城壁を武装している大砲の
点検準備をすすめる
使われている大砲は所詮見せかけで
お飾りの様なものだった
一応砲弾を込めて攻撃することは可能だが
狙いを定める事すら出来ない
『どうせならもっと良いのつけたらいいのに』
「こんなとこに金使ってどうするんだよ笑」
Aの言葉にユウヘは思わず笑い
「50mの壁を巨人と言えど越えられるわけないって
…よーし仕事終わりっと、おい！そっちは終わったかー？」
と言い残してゼルとミリナが点検している方へ
行ってしまった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
甘酒(プロフ) - 無羽さん» うわわ…ありがとうございます、仕事が忙しくて更新停止になってました… (2021年12月31日 19時) (
レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)
無羽 - はじめまして。更新ありがとうございます！何時も楽しく読んでます！これからも頑張ってください。 (2021年12月31日 18時) (レス) @page21 id: f4cfea9c5e (このIDを非表示/違反報告)
甘酒(プロフ) - ジャッキーさん» ありがとうございます更新遅すぎてすみません、、 (2021年9月2日 3時) (レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)
ジャッキー(プロフ) - 続きが楽しみで仕方ありません…！更新頑張ってください！！！！ (2021年8月1日 17時) (レス) id: 2f5b4ed08a (このIDを非表示/違反報告)
甘酒(プロフ) - 刀剣乱舞LOVEさん» ありがとうございます…！最近ダラダラ更新すぎて、まさか楽しみにしていただいている方がいると思ってませんでした笑凄い励みになりますありがとうございます！ (2021年6月7日 22時) (レス) id: d100b6efbd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甘酒 | 作者ホームページ：nhatev-hdfs sake1
作成日時：2021年3月12日 17時
