魔法使い、幹部になりました？ (ページ16)

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歴史と記憶ページ16

確かにグルッペンの言うことも、もっともだが、いまだにトントンは頷けずにいた

魔術がほぼ廃れてきたこのご時世
多くの人間が自分達の理解を超えた技術に憧れを持っていた
少しでも魔力や魔術についての知識があるものはどの国でも大変重宝され、科学では補えない技術の面や、人々にとっては憧れであり一種の信仰である

しかし、その可能性ゆえに国が離さず保護や研究という名の元、閉じ込められたり不当な扱いを受け、自死したという話も多い。

魔術師が減った原因ともされている魔女狩りやらなんやらも、国政や人々の不安を誤魔化すために、異質なものせいとして責任転嫁から
魔術師が大量に処刑された時代もあった

そのことも忘れ必要な時だけ魔術に頼るなど
都合がいいにも程がある
しかしそれらを求める国は多い

別にお礼をするだけならいい
でもグルッペンとゾムは彼女を軍に引き入れたいらしい、本物の魔術師だったら尚更だ

問題は国の重鎮と魔術師を合わせた時
どう転ぶか分からないということ

さっきから何も言わないオスマンやエーミールも同じことを考えていた

そもそも今までのことから、我々のような軍人や政治家を恨んでいるのでは、という不安
もし上手く行っても魔術師の言いなりになった国や、国の責任を魔術師に押し付け殺してしまったり、反乱が起きたり呪われたりする国を見てきた

魔術師と上手く共存できる国なんてほんの一握りほどである

特にエーミールとトントンは人間の愚かさと
魔術師の悲劇については痛いほど知っていた
生まれや国は違ったが
エーミールは祖母が、トントンは叔父が魔術師だった
どちらも人の愚かさゆえに失われてしまったのだが

トントンもエーミールも何も知らなかった
知らないうちに死んでいった
後になって自分の身内が魔術師だったこと、
国によって消されてしまったっことを知ったのだ

魔術師たちは家族を守るため
教えは何も残さなかった

家族を守るため技術も方法も
何も残さなかった祖母が

真面目な性格ゆえに
一人で抱え込んでしまった叔父が

彼らには何が正しいか分からなかった

会ってみたいという気持ちと不安で揺れていた

彼らの表情を読み取ったのか、グルッぺンは
「大丈夫だ」と笑った

tn「...はぁ、分かった、」

zm「なんやお前ら、心配せんでええて、Aになんかしたら俺が追いかけ回したるから」

なんでゾムがこんなに懐いてるのか怖いが
とりあえず彼女を城に呼ぶことにした