26 五条Side ページ27
＿＿＿久しぶりだった。
彼女の、Aの震える声を聞くのは。
特級レベルの強さと言えど、中身は16歳の少女なんだ。
僕の事を心配してくれる事に少し申し訳なさと、少し優越感が湧いた。
彼女･･･Aの親は彼女を狙った上層部のクソ野郎共の策略に嵌まり、命を落とした。
あまりにも呆気なかった。
勿論両親は何方とも一級術師。決して弱かったわけでは無かった。
しかし、圧倒的な力を持つ特級には敵わなかった。
更に彼らの遺体は見つかる事無く、血痕も遺骨も遺品も。何一つ無かった。
当時の上層部、御三家共は特級呪霊の仕業だと断定したが、僕と硝子は違うと見ていた。
何とも、上層部の奴らが遺体の回収に向かったのは、彼らが殺されたすぐの事だったらしい。
そして、彼女は7歳で愛していた人達の遺体を、思いの篭った遺品を一つも触れることは敵わなかった。
それから彼女は取り付かれたかの様に強くなった。
硝子からもストップはかかっていたが、彼女は止めなかった。
いや、止められなかったのだろう。
ある日、彼女は僕にこう言った。
｢父さんと母さんは･･･私を狙った奴らに殺されたんでしょ？なら私が強くなればいいじゃない｣
あまりにも悲壮。
当時の彼女は悲しみに明け暮れ、食事もロクに取れなかった為、かなり痩せていた。
身長も、102しかなかった。
そんな小さな体で、重い物を背負おうとしていた彼女に、僕はこう言った。
｢誰かを安心させたいなら強くなるな｣
だって。
Aが強くなっても、命の危険無い訳ではない。
僕は彼女にいつもついていた死の危険で、安心なんてロクにできなかった。
そんな彼女が小さく呟いた言葉。
｢なら悟さんも強くならないでよ･･･安心できないもん｣
＿＿＿＿＿それから。
彼女は周りの死に敏感になった。
大切に思っていた人が殺されれば、表にしないだけで悍ましい程の怒りと殺意を裏に閉じ込めた。
それだけ、周りを大切にしていたんだろう。
尚更僕は、引取元でもある上にAと沢山の思い出があった。
でも、それは皆平等に向けられていた物。
僕は欲深いんだ。
Aの特別な思いが欲しい。
そう思ってしまった。
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ゆずな - えのき鍋さん！この作品は私の大好きな作品で読んでいくうちにどんどんハマっていってしまいました(笑)文章も分かりやすく表現されていて、お世辞でも下手なんて言えません。。この作品本当に大好きなのでえのき鍋さんが更新を再開するのを待ってます！ (10月9日 16時) (
レス) @page29 id: f39121074c (このIDを非表示/違反報告)
森の中の小人 - えのき鍋さん、私は、この作品が、大大大好きです！人に言われたことなんて気にしなくていいんですよ！がんばれ！！！！！ (2022年1月14日 13時) (レス) @page29 id: 6bf4bc3648 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ - えのき鍋さん、私はこの作品が大好きです。夢主の過去が描かれている部分は特に読んでいて文章力がすごいなとおも (2021年8月20日 10時) (レス) id: e1f9a6c270 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ - えのき鍋さん、私はこの作品が大好きです。夢主の過去が描かれている部分は特に読んでいて文章力がすごいなと、思いました。ずっと応援しています。更新待ってます (2021年8月20日 10時) (レス) id: e1f9a6c270 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ - えのき鍋さん!!!!!頑張れー!!! (2021年5月28日 22時) (レス) id: 01d6a190b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えのき鍋 | 作成日時：2021年4月10日 19時
