4話 ページ5
「………ああ。合ってる。」
『見ず知らずの奴に名前を知られているのに、驚かないの？』
「まあ、親父の事で色々と………。」
『(親父ｰｰｰｰｰｰエンデヴァーの事か。)………ヒーローの息子というのも、良い事ばかりではないのだな。ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰごめん、話がズレた。』
そこまで言って、忍は一度当たりを見回した。
今は自分達2人しかいないが、ここは住宅街のど真ん中。話をするには不安な場所だった。
『この近くに、あまり人が寄り付かない場所はないだろうか？できれば人に聞かれたくない話なんだが………』
「なら、もういっそのこと俺ん家来るか？」
『じゃあそこにｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰって、はい？』
「大丈夫だ。親父は今日は帰って来ねえし、姉さん達も遅くなるって………」
『待って違うそうじゃなくて。』
「？」
忍は目の前で首を傾げているこの轟焦凍という人物が心配になってきた。
まだ少ししか会話していないが、どうやらこの少年はどこか抜けているところがあるらしい。
『私のような怪しい奴をそんな簡単に招き入れてどうする。家に何か仕掛けられるかもしれないのに………』
「？話をするだけなんだろ？」
『まあ、それはそうなんだが………』
「じゃあいいだろ。それに家の中なら、何かされても全力で反撃できる」
『それなら、良い………の、か………？』
やっぱりどこかズレている気もしたが、これ以上ウダウダしているわけにはいかないと思い、忍は既に歩き出していた轟の後について行くことにした。
轟の家へと向かう道中、忍は主から預かった轟焦凍についての資料を思い出していた。
ｰｰｰｰｰｰ轟焦凍
歳は忍と同じく14、凝山中学校の2年生。
はっきりとした個性名は書かれていなかったが、見た目の通り右は氷、左は炎を出すことができるらしい。
そして、父親がNo.2ヒーローのエンデヴァー。
………今回、まだ学生の彼が命を狙われたのにはそのエンデヴァーが関係していた。
(確か、依頼してきた奴がエンデヴァーに恨みを持っていて………それでエンデヴァーが大切にしている人間を殺 したいんだったっけ。ｰｰｰｰｰｰ相変わらず依頼してくる奴はクソ野郎ばっかり、か。)
依頼主はクソ野郎だが、侮るわけにはいかない。いつものように提案すればそれでいい。轟焦凍は今後一切狙われることはない。
(でもｰｰｰｰｰｰそれで本当にいいの？)
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作者名：豆わさび | 作成日時：2022年4月20日 2時
