9 -O- ページ14
相葉のせわしない足音が
どんどんと遠ざかっていく。
…彼なら、松本を救える。
彼と松本の間にある結び付きは
誰にも、断ち切れないものだから…。
息を吐く。
銃をしまい、その代わりに
いつものように、両手にナイフを引き抜いた。
固い柄を握りしめ、気分を
一気に、戦闘に集中させる。
｢…櫻井。
お前、生田の猟犬になったわけか｣
｢お前たちを殺すために手を組んだ。
…これが終われば、生田も用済みだ｣
｢過ぎた正義、か｣
俺は櫻井を見つめる。
形のよい焦げ茶色の瞳が
炯炯と燃え上がっていた。
櫻井は下唇を舐めた。
衝動と殺意に燃える双眸は
やはり、見覚えがあるもの。
俺の胸中に、静かな哀しみが広がる。
…櫻井、翔。
天を翔けるべきお前は
もう、空を仰ぐことさえ叶わない…。
｢…俺を、死なせなかった｣
櫻井が言い、俺に向かって
嘲笑うかのように目を細めた。
｢そのこと…後悔させてやるよ｣
深い、深い哀しみに身を沈め。
俺は、櫻井に対する純粋な思いが
一気に込み上げるのを感じた。
…お前を、俺が食い止める。
お前を、元の世界に俺が帰す。
そのために…お前と、本気で向き合う。
ナイフを、掌の中で回した。
指先でその峰をなぞれば
金属の冷たさが、俺を震わせる。
限りなく、怜悧な刃。
俺がゆっくりと息を吸って
足を踏み出しかけた時だった。
｢…一人で何やってんだか｣
後ろから、独特の声音をした
あの男の声が、聞こえた。
櫻井が、躯を震わせる。
それにも目をくれず、二宮は
俺のすぐ後ろで、足を止めた。
｢…お前の出る幕じゃないだろう｣
｢いいや…
…オレも、こいつに野暮用があってな｣
二宮は口元を歪めて笑い
ぎらつく淡い茶色をした瞳を
櫻井の方へと向けた。
｢こいつ…一回、黙らすんだな。
オレも一肌脱いでやるが、どうする？｣
｢…お前の好きにしろ。
ただし、殺すことだけはするな｣
俺は溜め息を一つ吐くと
二宮に、俺の隣を譲った。
ラッキーアイテム
革ベルト
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和奈(プロフ) - 初めまして＾＾いつも楽しく読まさせてもらってます。あの…いきなりなんですが、登場人物設定が５人までになってますよ？いきなりすみません…。これからも応援してます。頑張ってください!! (2013年3月3日 11時) (携帯から) (
レス) id: 2ecc39df21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：大宮いぶき
| 作成日時：2013年3月3日 9時
