7 -O- ページ12
人気のない真夜中の道を
飛ぶかのように、一気に駆け抜ける。
靴音が鳴り響き、コートの裾が靡く。
吹き抜ける風が、俺にぶつかる。
俺を衝き動かしているのは
心の中で鳴り響く、絶え間無い警鐘だった。
何が起きてるかは分からないが。
…無事でいろ。
唇をきっと噛み締めて
俺は大きな高架下に繋がる
階段を一気に駆け降りた。
あの銃声は、この方角から聞こえた…。
俺が足を止め、辺りを
ぐるりと一瞥した時だった。
…地面に、誰かが倒れていた。
｢おい…｣
俺はそっと、その人に歩み寄り…
…息を、呑んだ。
左胸から、鮮やかな紅を流して
そこに、倒れていたのは。
…松本、だった。
｢松本…！｣
俺は何も考えずに、咄嗟に
その手首を引っつかみ、脈を確認する。
辛うじて、まだ脈がある。
左胸を撃たれてはいるが
心臓には到達していないらしい。
…ただ。
彼を撃った銃は連射式だったのか、
躯のあちこちに、弾丸が突き刺さっている。
どの傷も、かなりの深手だ。
出血量も多く、重体だと見て取れる。
かなりの量の血が失われている今、
迅速に、処置を行わなければいけない…。
その時、俺は視界の片隅に
激しく乱れ舞う、二つの人影を捉えた。
お互い、銀色の凶刃を握りしめ
殆ど互角の、死の舞踏を舞い踊る二人。
ナイフの光が交差するたびに
激しく、甲高い音が鳴り響く。
…櫻井と、相葉。
温厚な彼にしては珍しく
怒りに目をぎらつかせた相葉と
冷酷な表情を崩さない櫻井が
激しく、熾烈にぶつかり合っている。
…それだけで。
それだけで、俺には分かった。
あの銃声が、響いた時。
ここで、何が起きたのか。
彼らの間に、何が起こったのか。
…それを知るには、十分だった。
…そして。
この場所に導かれた、俺が。
今、何をするべきなのかも…。
俺はスーツの内ポケットから
音もなく拳銃を引き抜くと、
天井に向かい、引き金を引いた。
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
和奈(プロフ) - 初めまして＾＾いつも楽しく読まさせてもらってます。あの…いきなりなんですが、登場人物設定が５人までになってますよ？いきなりすみません…。これからも応援してます。頑張ってください!! (2013年3月3日 11時) (携帯から) (
レス) id: 2ecc39df21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：大宮いぶき
| 作成日時：2013年3月3日 9時
