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侵しがたい、沈黙。
手で触れるのも憚られるような
そんな、優雅な沈黙を湛えながら
大野が、オレから目を逸らした。
静かな光を散らす茶褐色の瞳が
茫洋と宙を彷徨い、やがて止まる。
その視線が行き着く先には
柔らかい光を放つ、凝った造りの
室内灯が置いてあった。
｢俺は、死んだ人間の目を意識してる｣
大野が、息を吐いた。
静かに吐き出された言葉が、
空中にふわりと浮かんで、掻き消える。
｢俺のために死んだ、全ての人間の
息遣いを、俺は感じることがある｣
｢何だよ…それ。
あんた、霊感でもあったの？｣
オレがふふっと笑うと、
大野は茶褐色の瞳を、オレへ向けた。
嘘を纏わない真摯な眼差しが
それが真実なのだと、力強く告げている。
｢霊感、というものはないが…
…俺は、怯えているのかもしれない。
俺がこの手で殺めた人間に
こんな卑小な人間に殺されたのかと
後ろ指を指されることにな｣
低い声でそう語る大野。
茶褐色の瞳に、炎が躍る。
｢人を傷つけることは好きじゃない…
…暴力であれど、言葉であれど
それは双方の心を壊す。
誰かを傷つけた者は、きっと
その十字架を背負わねばならない…。
…俺は、そう思っている。
だから、俺が殺めた者たちだけではなく
俺のために死んでいった全ての人間に
報いるために、俺は生きる｣
その言葉が、オレを包む。
オレをまるで、遠回しに
批難しているようにも聴こえるのに、
何故か、不快感は感じなかった。
…あんたが、兄貴だからか？
オレを尻目に、大野は
すっと目を細め、空を見据えた。
｢…だから、俺は生田を許さない。
俺たちを揺るがすためだけに、
沢山の命を奪い、その代価を払わない…
…それこそ、万死に値する｣
茶褐色の瞳に、激しく、冷酷な
黒豹の表情が宿った。
オレは何も言えない。
今、ここで大野に無闇に賛同しても
果たして、オレにその資格はあるのか？
…その答えは、多分
直視することが、できない気がしたから。
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革ベルト
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和奈(プロフ) - 初めまして＾＾いつも楽しく読まさせてもらってます。あの…いきなりなんですが、登場人物設定が５人までになってますよ？いきなりすみません…。これからも応援してます。頑張ってください!! (2013年3月3日 11時) (携帯から) (
レス) id: 2ecc39df21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：大宮いぶき
| 作成日時：2013年3月3日 9時
