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3 -three years ago- -O- ページ7

俺は屋上へと続く階段を

息を切らし、駆け上がっていた。


弟が、俺に反旗を翻した。

その象徴のように、俺と近しかった

重役たちが、次々と惨殺されている。


…今まで、一緒に戦ってきた時から

彼の抱く野心の大きさには、気づいていた。

いつか彼は、その野心で

身を滅ぼすかもしれないとも

たまに思うこともあった。


…それを、俺は野放しにした。

彼との間に、できるかぎり

「溝」は作りたくなかったから。


…その報いが、これか?

だとしたら、運命は酷だ…。


ばんっ、と勢いよくドアを開ける。

フェンスに寄り掛かって

俺を待ち構えていた弟が、

顔を上げ、俺を見つめた。


…その顔に浮かぶ、歪んだ笑み。

彼は手にしていた何かを

ひゅん、と一回だけ振った。


…血で真っ赤に濡れた、刀。


「和也…!お前、やっぱり…」


唇を噛む俺の前で、

弟は凶暴な笑みを浮かべた。


「オレ、あなたを越えたいんです。

あなたのいる高い場所から、

見える景色を、オレは見たかった」


淡い茶色の瞳に、際限なき野望が燃える。

…彼はもう、取り返しのつかない闇に

心を囚われてしまったのだと

俺は、改めて実感した。


…その先に、何が待つのか。

それも、もう分かってる…。


「和也…お前は、そんなことをする

お前自身を許せるのか」


「許せるも何も…

…これが、オレが選んだ路だよ、兄貴」


彼は、刀の切っ先を俺に向けた。

淡い茶色の瞳に、冷たい光が過ぎる。


「兄貴…

…あんたを殺したら、手っ取り早いな」


そう言って、にやりと笑う弟と

俺の間に、もはや「兄弟」という

人と人の繋がりはなかった。


俺たちはもう、混じり合わない。

お前が俺を殺す気なら、

俺は、それを迎え撃つしかない。

俺たちの縁は切れた。

お前は今から、俺の「第三者」。

俺が殺すべき、「敵」になるんだ…。


…俺は、携えていた刀を抜いた。

決別の刃を、抜き放つ。

その切っ先を、和也に向ける。


…和也、いや、二宮に…。

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usamiya(プロフ) - こんにちは~♪パート更新お疲れさまです(^^)やっと兄弟再会したのに…そしてN宮さんの過去が気になる!!大変だと思いますが続き楽しみにしてます。頑張ってください、応援してます♪ (2013年2月18日 16時) (レス) id: 84d03e7a62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:大宮いぶき | 作成日時:2013年2月18日 8時

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