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7 -A- ページ4

振り抜かれた、潤の綺麗な脚。

試合で見ていた時と同じ、

ぴんと伸びた、逞しい蹴りが

真っすぐに、俺の顔面を狙ってくる。


…でも。

俺だって、キャリアがある。

近接戦闘なら、何回も…!


俺は後ろに飛びのき、その勢いで

地面を踏み切ると、今度は自ら

潤の懐に飛び込んだ。


思わずのけ反る潤の襟首を引っつかみ

横向きに彼を叩きつける。


「がっ…!」


苦しそうな呻き声を上げる潤は

それでも、俺が首に手をかける寸前に

地面に倒れた状態から、俺を蹴りつけた。


まともに一撃を食らい、全身に

重い衝撃が駆け抜ける。

その隙をぬうように、潤の右拳が襲った。

反射的に左手でそれを受け止め、

俺は、下半身目掛けてナイフを振り抜いた。


紅が迸った。

潤の右足の太股を切り裂いた刃を

俺は、そのまま流れるように振るう。

完全に主砲をやられた手負いの潤を、

刃は、容赦なく引き裂いていく…。


朱い花弁を撒き散らして

潤の躯ががくん、とよろめいた。

切り裂かれた太股と腹部から

どくどくと血が流れ落ちていく。

地面を真っ赤に濡らすそれは

返り血として、俺の服にも

点々と、紅い斑模様を描いていた。


俺は覚束ない動きをした潤を

そのまま、壁際まで追い詰めていく。

地面に真っ赤な線を描き、

潤の背中が、壁にぶつかった…。


「…っ」


唇を噛んだ潤が、額に汗を浮かべながら

瞳を震わせて、俺を見つめる。


…俺は。

その綺麗な首筋に、静かに

ナイフの刃を突き付けた。


初めて、潤の目に恐怖が過ぎる。

でもそれは一瞬で、すぐに

俺を非難するような表情、

深い嘆きに染まったものに変わった…。


「…俺を、殺すのか」


「動いたら…切る」


静かに、至近距離で睨み合う俺たち。

極限まで張り詰めた緊張を、

不意に、潤が破った。


「……兄貴」


そう口が動いた瞬間、

彼の右拳が俺の鳩尾に突き刺さった。


瞬間、潤は脚を引きずり

血の跡を残しながら逃げていく。



…いつもなら、追うはずのその状況。

追う気には、なれなかった。

思いと現在は相容れないまま・1 -O-→←6 -M-


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革ベルト


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usamiya(プロフ) - こんにちは~♪パート更新お疲れさまです(^^)やっと兄弟再会したのに…そしてN宮さんの過去が気になる!!大変だと思いますが続き楽しみにしてます。頑張ってください、応援してます♪ (2013年2月18日 16時) (レス) id: 84d03e7a62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:大宮いぶき | 作成日時:2013年2月18日 8時

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