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安らかなる時は一瞬で・1 -M- ページ11

…長い、夜。

俺はファストフード店で買った

ハンバーガーを頬張りながら

一人、人気のない公園の

ベンチに腰を下ろしていた。


少しでも気が緩めば、

思い出すのは、今朝の兄の姿。

俺を「獲物」として見据えた

感情のない、ダークブラウンの瞳…。


俺は最後のハンバーガーの一欠けらを

ぽいと口の中に放り込んだ。

包装紙をごみ箱に捨て、公園を出る。

人通りのない道を歩いて

俺は一人、アパートに帰ろうとしていた。


…その時。

俺の視界の片隅に、一人の

青年が倒れていた。


…あれは、確か。


夜もすっかり更けきったあの湾岸で

俺と、二宮と交差した

あの、警察官の青年だ…。

名前は、確か…櫻井。


俺は彼に駆け寄り、その右手首や

胸部に負った切り傷を確認する。


幸いにも、脈があった。

かなりの血を失ったようだが

命だけは取り留めたらしい。


…助けないと。

そんな思いが、咄嗟に込み上げてくる。


俺は彼の隣にしゃがみ込むと

自分の傷を塞いだのと同じように

ハンカチを細く裂いて、それを

青年の手首に巻き付けた。

右胸の傷は、血の乾き具合から

もう大丈夫だろうと思い

簡単な処置だけを施しておく。


何が、起こってる?

俺の脳裏を、疑問符が飛び交う。


彼もまた、二宮を追っていた。

兄も、二宮に二千万の報酬が

かけられていると言っている。


…そして、忘れられない男が、もう一人。

あの日、二宮や櫻井を前に

圧倒的な強さを見せつけた

あの、短髪の小柄な青年…。

彼の放つ雰囲気は、

普通の人間のものではなかった。

そして、彼も二宮と

何かしらの関係を持っている…。


…本当に、何かが起こっている。

俺と、彼らの間で

目に見えない、大きな流れができている。

そして、俺も知らないうちに

その中に、巻き込まれているのだろうか…?


櫻井のぐったりとした体を

一気に背中に担ぎ上げると

俺は、太股の傷が痛むのも構わず

人通りのない道を歩きだした。

2 -S-→←6 -O-


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usamiya(プロフ) - こんにちは~♪パート更新お疲れさまです(^^)やっと兄弟再会したのに…そしてN宮さんの過去が気になる!!大変だと思いますが続き楽しみにしてます。頑張ってください、応援してます♪ (2013年2月18日 16時) (レス) id: 84d03e7a62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:大宮いぶき | 作成日時:2013年2月18日 8時

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