検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:16,561 hit

5 -A- ページ2

…フードを、取られた時。

真っ先に飛び込んできたのは、

サディスティックな二宮の笑顔ではなく、

少し離れた所に立ち尽くす、

彼の、血の気を失った顔だった…。


俺は強く強く唇を噛んで、

瞬間、二宮の躯を下から蹴り上げた。

彼が身をかわし、距離をとる。

それに合わせて、俺も立ち上がった。


「…あなた、自分が誰を狙ってるのか

ちゃんと、分かってますよね?」


二宮が、嗜虐的な笑みを浮かべながら

独特の音色をした声を上げる。


俺は、二宮に全ての意識を集中させた。

こいつを、俺は殺すんだ。

そう思い、二宮だけを見据える。


…潤の姿を、見てしまわぬように。


「二宮さん…

…あなたの首に、二千万です」


俺はナイフを構える。


「俺の、最後の仕事なんです…

…死んでください」


そう告げて、飛び出そうとした瞬間。


「兄貴!」


悲痛な、心を真っ二つに切り裂くような

潤の叫び声が聞こえて、

力強い腕が、俺を後ろから抱き留めた。


「兄貴…やめろよっ、兄貴!

俺は見たくないっ…

…兄貴が、人を傷つけるなんて

俺はそんなこと認めない!」


俺の躯に縋り付いた潤が

嗚咽を堪えながら、そう吠え立てる。


身動きが取れない俺の目の前で

二宮の淡い茶色をした瞳が

ぐらり、と、一瞬だけ揺れ動いた。


…でも、それはたった一瞬。

彼は冷酷な笑みを浮かべると

すぐに踵を返して、立ち去っていった。


…しまった。

顔も割れた上に、取り逃がした。


失意と怒りが、ふつふつと

俺の中に込み上げてくる…。


「潤…お前、何やってんだよ!」


俺は潤を睨むと、その腕を振り払う。

潤に対峙すると、彼は

ダークブラウンの瞳を、深い

哀しみの色に染め上げて

俺のことを見つめていた…。


何も言わない潤から目を逸らせば、

まだ、二宮は近い。


二宮に向かい、駆け出そうとした俺の前に


「…いい加減にしてくれ、兄貴!」


悲痛で、それでいて激しい

咆哮のような声をあげた潤が

俺の眼前に立ちはだかった…。

6 -M-→←散りゆく軌跡を辿る者はない・4 -M-


ラッキーアイテム

革ベルト


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
17人がお気に入り
設定タグ: , 大宮
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

usamiya(プロフ) - こんにちは~♪パート更新お疲れさまです(^^)やっと兄弟再会したのに…そしてN宮さんの過去が気になる!!大変だと思いますが続き楽しみにしてます。頑張ってください、応援してます♪ (2013年2月18日 16時) (レス) id: 84d03e7a62 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:大宮いぶき | 作成日時:2013年2月18日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。