2 -S- ページ3
ごつん、と。
立ち上がった拍子に、
俺のつま先は机の角に当たった。
｢…！｣
情けない声を上げそうになるのを、
どうにかして押し殺した。
｢…ってぇ…｣
苦々しげにしかめながら上げた顔が、
壁にかかった一枚の写真にぶつかる。
…その中に、かつての俺。
西の海を越えた先、
某国陸軍にいた時に、戦友たちと撮影した写真だ。
背の高い屈強な仲間たちに囲まれ、
俺は瞳を輝かせて笑っている。
…今の俺とは、違う。
あの綺麗な瞳は、
もう俺には取り戻せない。
俺は溜息をつくと、手に持ったままの
コーヒーを一気に飲み干した。
突然鳴り響く、ギターの音。
多分俺の粗末な部屋の中で
一番高価な物であるスマホの画面が、
ちかちかと点滅していた。
｢…はい｣
｢あ、先輩！行きますよ！
今日こそは夜ご飯食べに行こうって、
昨日約束しましたよね？｣
電話越しに聞こえる無邪気な声に、
俺は口元を緩める。
｢三島…お前、今、どこにいる？｣
｢どこって…
もう先輩の家の前ですよ｣
｢まじかよ｣
俺は笑うと、スマホを首に挟んだまま
立ち上がり、さっと上着を羽織る。
財布の中を確認。
…たった二万、か。
｢三島…一つ確認だが、
まさか高級レストランじゃないよな？
給料日前なんだよ｣
｢大丈夫です。
家賃三万のボロアパートの住人の懐事情は、
よく分かっていますから｣
笑う三島。
この野郎、と、ちょっと
三島を小突いてやりたくなる。
俺は念のために、警察手帳を
上着のポケットに突っ込んでおいた。
久々の、外出か。
ベージュのカーテンの隙間から覗けば、
灰色の空に、
雨が降りしきっていた。
…俺たちの運命を変える物語は
ここから、始まろうとしていた。
ラッキーアイテム
革ベルト
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和翔(プロフ) - 和翔のお気に入り嵐小説の作者です。載せました！またよろしくお願いします♪ (2013年1月2日 19時) (携帯から) (
レス) id: bcd2c4470f (このIDを非表示/違反報告)
白冬(プロフ) - けいさん» ありがとうございますヽ(^。^)ノ 大宮いぶき様の作品は、私のプレイリストのパート３に載せてありま。 ぜひ一度、いらしてみてください。 お待ちしております。 また、新作など新しく載せて良い作品（フラグ無し）がありましたら、いつでもお声をおかけください。 (2013年1月1日 13時) (レス) id: 151259579c (このIDを非表示/違反報告)
けい(プロフ) - こんにちは〜♪鍵セカにコメントありがとうございます！これまたおもしろそうな匂いがプンプンしますなあ(^^)WARRIORSのOさんもイケメンですな！続き楽しみにしてます！ (2012年12月30日 16時) (携帯から) (レス) id: 0693e05c4e (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - こんにちわ、にゃんです(^^)こちらにもお邪魔させていただきました！さっそく黒い雰囲気漂ってますが…わくわくしますね。楽しみにしてます！がんばってください！ (2012年12月30日 13時) (レス) id: 6a45053acd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：大宮いぶき
| 作成日時：2012年12月30日 10時
