◇ ページ22
掴んだ手首は、小刻みに震えていた。
彼女の顔から涙がぽたぽたと絨毯に落ちた。
僕は君のそんな涙みたくないよ。
「あんね」
はい、という相槌は聞こえない
「女の子に合わせて僕はあんまり服変えたことないの。」
そう言うと彼女は驚いたように顔を上げた。ああ、目元が少し赤くなっちゃって
「やから、毎回毎回よっれよれのAちゃんが見慣れたこのスーツを着て、遊んで」
うわ、自分でクズやなあって思う。
「この前祭りに行った時ビシッとしたスーツを着たやんか、あれ外交とかそういう用のやつでな?Aちゃんは何着ても綺麗なんよ。
俺らのお姫様みたいで、俺が今日このよれたスーツを着てきたんはこの前の青のワンピースに合わせたかったから。
どうせまたAちゃんのことや。釣り合わんとか考えると思って」
こくこくと素直に頷く彼女。思わず笑いそうになる。可愛いなあ、俺こんな子に大事に思われてんならそれだけでええなあ。
「んね?やから逆よ。
君に釣り合うために僕がこの服を選んだの。」
Aちゃんの手首から手を離して、腰に手を回した。
「なあ、どう?俺ら釣り合ってる?」
そう聞いたらボロっと大粒の涙がまた溢れた。今度は悲しそうな涙じゃない。
うなづいてくれた彼女と街に繰り出した。
俺らってホントお似合いじゃない?
そう聞いたら彼女はそうだったら嬉しいです、と言った。
欲張らんから、ずっとそばにいて。
そう、祈らずにはいられなかった
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アリス - お疲れさまでした。とてもよかったです、これからも頑張ってください!!! (2020年10月4日 15時) (レス) id: 48980b5e27 (このIDを非表示/違反報告)
闇ちょこ(プロフ) - だーーっ!!((番外編は結構甘々で面白かったですぅ…もう10周してきます!! (2020年5月25日 13時) (レス) id: f89a326571 (このIDを非表示/違反報告)
ぺとるしか(プロフ) - どうしてもまたこの作品が読みたくなって、夜中サイト内を探し回り漸くたどり着きました…!!本当に大好きです…名作…!!何度も読み返したくなる素敵なお話を書いて下さり、本当にありがとうございます…(;ω;)また最初から読み直したいと思います!! (2020年5月12日 4時) (レス) id: 1ba63f4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
倉崎(プロフ) - ふぃやぁ!!!感動しました。お疲れ様でした!!!! (2019年6月30日 19時) (レス) id: 27aa211cd5 (このIDを非表示/違反報告)
山内優菜(プロフ) - 完結お疲れ様でした!これが最後なのが残念です(TT)ありがとうございました! (2019年6月28日 20時) (レス) id: 6807067b24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:根無し | 作成日時:2019年6月9日 12時