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8パック目 ページ21

「Aちゃーん!街行こ!」

片手にフォーク、もう片手はお皿にそえて。
ここは食堂。幹部専用の。

もぐ、とスクランブルエッグを口に放り込んだ

「先生、なんでまた急にそんなこと言うん?
今日Aちゃんとお茶会の予定やったんやけど?」
カタ、と静かに、厳かな雰囲気を出すオスマン

対照的にだらり、と矛盾的なスーツを着ている鬱はそんなもの知るか、といわんばかりに話を続けた

「やってAちゃんってあんまり服持ってないやん?私服って言っても寝間着と青のワンピースしか俺知らんし、何ならそれ以外に持ってるん?」

「持って……ない…けど」

渋々答える。何故と言われればこのままだと誰かに服を買ってもらう…という展開になりかねないからだ。

「でも、侍女というか、このメイド服でも十分ですし。」
「そんなこと言わんと!じゃあ俺と今日デートね!」

「ほおん。そうなんだーへーー鬱くんってば僕に出すはずの書類の期限がいつまでか知ってるんですかねーー?確か、今日までのやつありま」
「ナナナナ何言っとんのトントーン!!やだなあっ!もう出せるようにしてあるんだゾッ!」
「楽しみですわ」

…………朝食を食べ終わった後、猛ダッシュで自室へと向かう鬱先生の後ろ姿を私は確認した。

……無理しなくていいのに





青のワンピースを着て鏡の前で揺らしてみる。ひら、と揺れるすそ。軽やかなそれに対して私の心は重い

これは、偽りの祖母に貰ったものだ。あの写真たてと一緒に。
写真は捨てた。からの写真立てが私の部屋でぽつんと顔を伏せている。
ワンピース、は、捨てれなかった。
理由はいくつかあった。

しかし、あまり高いものではないので正直隣に並んでいるのが辛い時もある。

「絶対変な目で見られるよ…」

ぽつりと一人部屋で呟いた。


「あ、あれ?鬱先生その服」
「どしたん?はよいこ」

玄関に行けば鬱先生がいつものヨレヨレのスーツを着て立っていた。
この前、祭りに行った時はビシッと決めていたのに

「……つ、つりあいま、せんか?」

吐き出された言葉に思わず手で口を塞いだ。ぼろ、と涙がいやでも出る。
やだ、こんなことを言いたいわけじゃないの。

「そうです、よね! わたし、めいどさ、んにたのんでみます!」

ちがう……ちがうの……
それでも、私は鬱先生から顔を背けて走り出した。

「ちゃう。そんなこと、ないよ」
ガシリと掴まれた手首は少し力強くて、私は涙がまた止まらなくなった

◇→←◇



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アリス - お疲れさまでした。とてもよかったです、これからも頑張ってください!!! (2020年10月4日 15時) (レス) id: 48980b5e27 (このIDを非表示/違反報告)
闇ちょこ(プロフ) - だーーっ!!((番外編は結構甘々で面白かったですぅ…もう10周してきます!! (2020年5月25日 13時) (レス) id: f89a326571 (このIDを非表示/違反報告)
ぺとるしか(プロフ) - どうしてもまたこの作品が読みたくなって、夜中サイト内を探し回り漸くたどり着きました…!!本当に大好きです…名作…!!何度も読み返したくなる素敵なお話を書いて下さり、本当にありがとうございます…(;ω;)また最初から読み直したいと思います!! (2020年5月12日 4時) (レス) id: 1ba63f4cc0 (このIDを非表示/違反報告)
倉崎(プロフ) - ふぃやぁ!!!感動しました。お疲れ様でした!!!! (2019年6月30日 19時) (レス) id: 27aa211cd5 (このIDを非表示/違反報告)
山内優菜(プロフ) - 完結お疲れ様でした!これが最後なのが残念です(TT)ありがとうございました! (2019年6月28日 20時) (レス) id: 6807067b24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:根無し | 作成日時:2019年6月9日 12時

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