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「梅ちゃーん！！」
秋になった。
廉の祝言も無事終わったらしく、ここにいても風の噂で耳にすることがあった。
それでもここに来ることをやめない廉のこと、人々は「さすが」と、そんな言葉でもてはやした。
「柊和、声が大きい。」
そう言うと、子犬のように眉を下げる柊和。
「ごめんごめん、…え、梅ちゃん何どっか痛いん？」
今にも泣きそうな梅を見て、また泣きそうな顔をする柊和。
最近、梅は急に大人びて、そう、そういうお年頃。
「梅、ちょっと頼まれごとしてくれる？これ、弥生姉さんに返さなあかんの。お願い。
あとついでに春ちゃんとこ行っておいで。今日は時間までまだあるから。」
「はい。」
そう言うと、ささっと部屋を出ていった梅。
「梅ちゃ」
「柊和、今日の用はなに？」
被せるようにそう言うと、ムスッとした柊和の声。
「そんな言い方ないやんか〜、梅ちゃん泣きそうやった。」
出た。
柊和の無意識
「柊和さ、…やっぱええ」
「なに？、気になるわはよ言うてや。」
「あぁもう、柊和男前なんやから。自覚してないやろうけど。」
「へっ？？」
ほら、やっぱり気づいてなかった。
柊和は嘘なんかつけないから。
…まあ、それが柊和のいいところなんだけど。
「柊和と一緒になりたい言う女は掃いて捨てるほどいるわ。」
「ええっ！！」
「そのうち、勘違いされて面倒なことになるんやない？」
「そんなぁ〜」
あまりにもつめたく言いすぎたかな？って、柊和を見ると、声ほど実際は思い詰めてはなくて。
「まあ、そんなおおげさなこと言われても実際女に好かれるなんてことないからな〜」
やなんて、なんてあっけらかん、なんやろう。
「ほんまに？」
「ほんま。だって俺ざわとしかつるんでないもん。」
突然出てきた、ざわ、に一瞬で心が跳ねる。
『ざわ』は、柊和だけが呼ぶ晴太郎さんのこと。
「俺もあいつも女っけなんてまるでないもんな〜。やからこないに会ってるってわけやけど。」
なんて、笑う。
それを聞いて、柊和と話しているのに、晴太郎さんにそのような人がいないとわかって
あの人をこんな風に想うのはやめよう、やなんて思ってたことなんか忘れてしまうほど
その事しか考えられなくなる。
「？…A？」
「え？なんやった？」
「なんで俺梅ちゃんに泣かれそうになってたん？」
「…ちょっと柊和今の話聞いてた？」
相手が柊和でよかった。
そう、思わず寄せてしまった眉間もまたゆるんだ。
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作者名：ゆう
| 作成日時：2017年9月6日 19時
